『若返りの泉』があったなら?・・・16世紀に描かれたクラナハの名画に釘付け [お気に入り]
(クラナハ「若返りの泉(青春の泉)」:講談社「週刊 世界の美術館」より)
昨年秋訪れたベルリン美術館(絵画館)、私の主目的は、フェルメールの2作品の鑑賞にあったのですが、ドイツ絵画の部屋に展示されていた1枚の絵の前で私と娘は釘付けになってしまいました。
それは、ドイツルネッサンスの代表的画家クラナハによる、「若返りの泉」(または「青春の泉」)という大作でした。(1546年:122.5センチ×186.5センチ)
あちこちから馬車など人の手によって運ばれてきたヨボヨボの老女たちが、泉の水を浴びることで若さと美を取り戻し晴れやかな表情になり、泉の傍らで若い男性とうれしそうに戯れ合う様子をリアルに表現したものです。
私も温泉に入ると、肌がすべすべになる効果を感じ、リフレッシュできて寿命が延びた気分になりますが、この絵が描く世界はもっと強烈です。
(絵葉書の「ユディト」と「週刊 世界の美術館」より「ヴィーナスとキューピッド」)
クラナハというと、『旧約聖書』のヒロインが当時のザクセン宮廷貴婦人の姿で描かれた「ホロフェルネスの首を持ったユディト」(ウイーン美術史美術館)などザクセン風の衣装の女性像や、魔性の女のようにも受け取れる痩身のヴィーナス像が私には思い浮かびますが、この絵は全くノーマークでした。
ホテルに戻ってから手元にあったガイドブックの絵画館のページを見たら、 “こちらも必見!「若返りの泉」”というコラムがあり、“若返りの水が出る噴水にヴィーナスとキューピッドを描き、愛こそが不老長寿の源だと暗示している”との解説がありました。どうやら写真が小さかったのでうっかり見逃していたようです。
(老女が・・・)
(若い美女に・・・)
(噴水を境に変身)
(クラナハ「若返りの泉(青春の泉)」:講談社「週刊 世界の美術館」より)
絵画館の売店で絵葉書を探しても見あたらなかったので残念に思っていたところ、講談社の「週刊 世界の美術館」No.26ベルリン美術館(1月15日発売)に大きな図版があったので早速購入。
この本では、「青春の泉」と題された問題の絵をじっくり見直すことができました。
泉の真ん中にある噴水を境に、若い美女に変身する醜悪な老女たちは、恥じらいや戸惑いの表情から晴れやかで自信に満ちた表情やしぐさに一変します。
この作品を描いたとき、画家クラナハは既に74歳。自分自身に忍び寄る老いを感じていたからこそ生まれた作品なのかもしれません。
伝説としてヨーロッパで語り継がれてきた、この世のどこかにあるという「若返りの泉」がもしあったなら?
私もちょっと試してみたい気はしますが、あまりにも極端に若返ることに無理がありそうですし、効果の持続時間がわからないので心配です。せっかく若返ったと喜んでいたら、ある日突然・・・なんて!
年末に部屋を片付けたら、2年位前に買ってそのままにしていた本が見つかりました。
若返りながらやせる!経絡リンパマッサージでアンチエイジング (LADY BIRD小学館実用シリーズ)
- 作者: 渡辺 佳子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/10/04
- メディア: 大型本
以前にも著書をご紹介した、経絡リンパマッサージの第一人者・渡辺佳子先生の“経絡リンパマッサージでアンチエイジング「若返りながらやせる!」”という本です。
“女性として一番輝いている20歳前半を目指すために、まずは7年前の自分に戻ることが目標”と書いてありました。何事も極端すぎるのは良くないようです。
“また、アンチエイジングで忘れていけないのは、老けない生き方をすること。顔や体には、その人の心のあり方、生き方が顕著にあらわれてきます。内面がピュアで子供のように素直な人は、自然体で美しく、いつまでも若々しく見えます。”
“心身ともに柔軟で、ニュートラルな状態でいることが若さを保つ秘訣なのです。”
などなど、日々の生活で心がけたいことが色々書いてあります。
年末年始、風邪のため体調不十分な状態で出かけたパリの写真を整理していて、自分自身が思っているよりも老けて見える自分の姿にガックリしました。気持ちだけは若いつもりでも体の不調や疲れは隠せないようです。
体内年齢別の具体的なプログラムなどが、写真入で詳しく紹介されているので、私も気になるところから少しずつ実行しなければいけないと改めて思ったことでした。
フランス流紅茶芸術、『香り』がやみつきになるロシア風紅茶「KUSUMI TEA」 [お気に入り]
(カラフルなラベル・デザイン)
(「KUSUMI TEA」ティールーム)
お茶、特に紅茶や中国茶に花や果実などがミックスされた「フレーバーティー」や「ブレンドティー」を色々取り揃えておき、気分に合わせた『香り』を楽しむのがマイ・ブームです。
紅茶というと「イングリッシュ・ティー」のイメージがありますが、「ティー・タイム」に飲むならどちらかというとフランス流が最近の私好みです。フランスでは砂糖やミルクを加えずに「香り」を楽しむ「フレーバー・ティー」がよく飲まれますが、「フォション」のアップルティは昔からおなじみですね。
フランスで最初に紅茶を輸入した「マリアージュ・フレール」の「マルコポーロ」や、マカロンでおなじみの「ラデュレ」の「マリー・アントワネット」などは比較的万人向きだと思いますが、私は香りがきつい故に敬遠されがちなお茶も好んで飲む方です。
(5種のミニ缶セットはおみやげにもぴったり)
パリのロシア風紅茶「KUSUMI TEA」は、私のお気に入りブランドですが、最初にみつけたのは2003年夏、パリの老舗デパートボン・マルシェでした。5種フレーバーのミニ缶セットのカラフルなパッケージがかわいらしく、おみやげにもぴったりと思い、1缶ずつ友人たちにもおすそ分けしました。
「KUSUMI TEA」には結構くせの強いフレーバーもありますが、もし好みの味がみつかったら、日本でもニューヨーク発のセレクト食品ショップ「DEAN & DELUCA」などでレギュラーサイズの缶入りが入手できます。
「KUSUMI TEA」の中で「花束」と名づけられたお茶は飲みやすいフレーバーで、ティー・バッグもありますが、ブレンドした茶葉にレモン、ベルガモット、オレンジ、ライム、マンダリンオレンジの香りが調合された華やかな香りの紅茶は、さすが『香り』の文化の国の商品と思わせる優雅なティー・タイムを演出してくれます。
今回のパリ旅行では、サン・ジェルマン・デ・プレ界隈にある「KUSUMI TEA」店舗の二階に最近オープンしたティールームに行ってきました。
帝政ロシア時代の1867年、サンクト・ペテルブルクでクスミチョフが創業した頃は、皇帝御用達の茶商だったそうですが、1917年のロシア革命によりフランスに亡命。ロシアでのお茶のノウハウを生かしつつ、『香り』を楽しむロシア風のお茶の販売をはじめ、今ではフランス国内では知名度の高いブランドになっていますが、最近はデトックス茶なども販売しています。
ベージュと赤を基調にしたインテリアのティールームは、朝からみぞれ混じりの雨が降るという悪天候のせいか私たちのほかには日本人カップル1組のみでとても静かでした。
英語のメニューを渡されましたが、茶葉の種類があまりにも多く、説明を読みながら考え込むことしばし・・・(店舗には70種類以上あるようです)
娘は、初めて見た名前のお茶にチャレンジしましたが、私はあれこれ悩んだ末に結局、帝政ロシア時代の古都の名前がついたロマンチックな甘いお茶「サンクト・ペテルブルク」に決めました。「ズブロッカ」という名前のお茶にも惹かれたのですが、バッファローグラスの香りだけならまだしも、もしウォッ入りだったら酔っ払ってしまいそうです。
(クレーム・ブリュレはかなり甘い)
ところが、もうひとつのお目当て、ガイドブックに写真が載っていたクレーム・ブリュレがメニューには見当たりません。
日本の鉄瓶にいれてサービスされたお茶を飲み始めたら、他の日本人客の席にはお茶と一緒にデザートの皿が運ばれてきたので、私たちも勇気を出して(?)スタッフのお兄さんに手元のガイドブックの写真を見せてクレーム・ブリュレを無事注文できました。
海外旅行では、写真が豊富な最新のガイドブックを持ち歩くことにしていますが、今回も役立ちました。
(エキゾチックなKUSUMI TEA、ロシアでは富裕層向け?)
「KUSUMI TEA」は、アメリカだけでなく、ロンドンやベルリンにも進出しているようですが、近年、ロシアにも里帰りを果たしたそうです。
さて、今回自宅用に購入したミニ缶セットは、2種類。
定番のロシアン・フレーバーの詰め合わせともうひとつ、クリスマスティやチョコレート・スパイスが入っているセットは季節限定でしょうか。
娘は、友人のお土産用にと、中国の緑茶シリーズのセットを購入したようです。
一時期、キャラメルフレーバーの紅茶にはまったことがありますが、チョコレート・スパイスのお茶は初めてです。お茶の甘い香りでチョコを食べた気分になれたら少しはダイエットになるでしょうか?
誰が王様になれるでしょうか?・・・「ガレット・デ・ロワ」の楽しみ [食べること]
(「ガレット・デ・ロワ」:1月2日、パリ・マレ地区のブーランジュリー)
最近は東京でも、「カイザー」や「ビゴの店」などのブランジュリーの店頭に1月だけ並ぶ「ガレット・デ・ロワ」というフランス伝来のお菓子があります。
「ガレット・デ・ロワ」は、フランスの各家庭でキリスト教の公現祭である1月6日に毎年食べる慣わしの伝統菓子ですが、最近はあまり日付にはこだわらなくなったということで「カイザー」では1月中は店頭に並ぶそうです。
(「ビゴの店」の「ガレット・デ・ロワ」。
日本人パティシエは、今年フランスのコンクールで333人中の14位)
「ガレット・デ・ロワ」の楽しみは、お菓子の中に1個だけ入っているフェーブという陶器のラッキーチャームと、お菓子と一緒ににつけてくれる金色の紙の王冠にあります。
家族や仲間などが集まったら、「ガレット・デ・ロワ」を人数分に切り分けます。
切り分けられたものにフェーブが入っていた人が当たりで、その日の王様として祝福され、金色の王冠をつけて一日主役を務めるというのが慣わしとのこと。
“王様の言うことには絶対服従”などのルールをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
(お菓子の中に、小さなフェーブがひとつだけ隠れている)
フェーブは、2-3センチくらいの小さな陶器ですが、人形や動物などの伝統的なフィギュアだけでなく王冠、バッグや靴などのファッショングッズ、お菓子やパン、書物など様々な形状のものがあり、コレクションアイテムにもなっています。
私も、毎年、このフェーブを集めるのが楽しみで「ガレット・デ・ロワ」を買うのですが、最近は製菓材料を扱うネットショップなどでフェーブを入手できるようです。好みのものを選んだり、10個セットとかのまとめ買いもできますが、私は1個ずつコツコツ集めるようにしています。
だいぶん前に見たテレビ番組では、フェーブはフランスの地方にある小さな陶器工場で作られるということでしたが、今でもフランスで作られているのでしょうか。
(「カイザー」のフェーブは、別添の袋の中)
お菓子の中に埋め込むフェーブは小さいものなので、今年は何が入っているかな?と思いながら食べる方がわくわくしますが、誤飲事故防止のために、別添で販売するお店もあります。(切り分ける前に家でフェーブを「ガレット・デ・ロワ」の中に入れて食べる)
「ガレット・デ・ロワ」のパイの中にはアーモンドクリームが入っていますが、ショコラクリームや、パイ生地のかわりにブリオッシュ生地のものもあります。
公現祭は、日本ではあまりなじみがないと思いますが、カイザーの商品チラシによると、
“12月25日に馬小屋で誕生されたイエス・キリストは、翌年1月6日、旅を続ける東方の3博士によって発見されました。つまり公現祭はキリストが公に姿を現したことをお祝いする日です。
フランスのブサンソンで16世紀に始まり、当時修道院で院長を選出する方法として用いられたと言われています。”
なり手のない、または希望者が多すぎる役員を決めるときに、こういうくじ引きの方法もあるのですね。
当時のフランスは階級制度が厳しく、王様の地位は絶対的なものでしたが、公現祭の日ばかりは誰もが王様になれるチャンスが与えられるとうことで市民の楽しみとして次第に定着したそうです。
日本にも似たような伝統行事が地方にはまだ残っていそうな気がしますがどうなのでしょう。
さて、アメリカ合衆国には新大統領が誕生しましたが、日本の新リーダーは?
「食べられるアートの展覧会」・・・伊勢丹の『サロン・デュ・ショコラ』 [お気に入り]
(F.ジロット)
(J.P.エヴァン)
(C.フェルベール)
バレンタインデーを前に、新宿・伊勢丹で開催中の『サロン・デュ・ショコラ』に行ってきました。
パリで毎年開催される、パリ発・チョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ』の熱気をそのまま引き継ぐというイベントは、昨年も若い女性を中心にかなり話題になりましたが、私が行くのは今回が初めてです。
「ショコラとアート」をテーマに、15カ国、約60のブランド、ショコラティエ・パティシエ約40名が来場予定という大掛かりなイベントですが、まるで美術館のように展示されている作品は、“えっ、本当にチョコで作ったの?”と、目の保養というか、目を見張るものばかり。
(J.P.エヴァン)
実際に商品として売られているものはかなりお値段がはるので、事前にWEBカタログなどでチェックしていかないとどれを買うべきか相当悩みそうです。
私は、時間の都合で、ジャン・ポール・エヴァン氏とクリスティーヌ・フェルベールさんのブースを中心にみたのですが、究極のショコラ・アートは感動ものでした。
(J.P.エヴァン)
ジャン・ポール・エヴァン氏は、娘が2002年にパリみやげに買ってきて初めて知ったのですが、伊勢丹の地階に“厳重に温度管理された”お店ができたので、今では日本で一番有名なフランスのショコラティエかもしれません。
私は、4個入りのショコラを2箱と6個入りのマカロンを買いました。
小粒のマカロンはどれも中のクリームが一味ひねってありましたが、シンプルなビターチョコレートが一番おいしく感じました。
ちょっと気難しそうに見えますが、いかにもフランス人らしいムッシュー・エヴァンとのツーショット写真もGETできました。
(C.フェルベール)
コンフィチュールの妖精として知られるアルザスのクリスティーヌ・フェルベールさんが「ビジュー」をテーマに作り上げたショコラは、食べてしまうのがもったいない、繊細な金銀細工のようなショコラたちでした。
(砂糖細工のスミレの花はとても甘い香り)
1980年からアルザスの店でスイーツを作り続けるクリスティーヌさんのモットーは「季節のリズムと共に働くこと」とのことで、ショコラも夏には作らないそうです。クリスティーヌさんにもサインとツーショット写真をお願いしましたが、今回の「ビジュー」はかなりの自信作のようで、「そのうち銀座にショコラの宝石店を開かなきゃいけませんね」などとおっしゃっていました。
アルザスのコルマールにほど近い静かな村にある「メゾン・フェルベール」も、私が一度は訪れたい場所のひとつです。
(10名のショコラティエによる「セレクション・スペシャル」)
(ポップなアートV.D.ダネール)
そして今回別行動だった娘が購入したのは、フランスの人気ショコラティエ10名によるボンボンを集めた「セレクション・スペシャル」と、日本初登場の女性職人V・D・ダネールさんのポップだけれど和の雰囲気が感じられる女の子好みの色あいのオブジェのようなショコラでした。
こちらはパリ郊外のアトリエで手作業で色づけするため限定数量の販売とのこと。
娘も私も甘い宝石でお腹はいっぱいに満たされましたが、お財布は空っぽに・・・
大晦日のルーブル、『モナリザ』と再会 [海外旅行]
(ルーブル美術館:ピラミッドの下にメイン入り口がある)
約10年ぶりのルーブル美術館です。
前回は、初ルーブルだったので、絵画に関してはかなり時間をかけて鑑賞しましたが、今回は、もう一度見たい作品に限定して鑑賞する計画でした。
30日の火曜日が休館日だったので、大晦日に行く羽目になってしまいましたが、悪い予感が的中。
ガラスのピラミッド下のチケット売り場は、最後尾もわからないほどの人の波です。列に並びながら手元のガイドブックをチェックすると、“行列を作らずに入場できる、穴場の入り口”がカルーゼル凱旋門の近くにあるとの記述を発見。
(穴場?「ライオンの門」)
地上に出て、カルーゼル凱旋門左手の庭園内にあるライオンの門“Porte des Lions”へ向かいます。
さすがにこの日は、かなりの行列ができていましたが、なんとかチケットを買って美術館に入場。
年間800万人が訪れる”世界最大の美術館“ルーブルの来館者の7割が真っ先に目指すという『モナリザの間』を私たちも目指すことにしました。
(『受胎告知』)
(『美しき女庭師』:ラファエロ)
途中、スペイン絵画、イタリア絵画の部屋をさくっと見ましたが、とにかく半端じゃない大混雑・・・
やっと、お目当ての『モナリザの間』に到着しましたが、展示変えして鑑賞しやすい広い部屋にしたというのに大変なことになっていました。
(ラッシュ時の混雑には、『モナリザ』もびっくり?)
ルーブルの写真撮影はフラッシュをたかなければ許可されているので、名画の前は、なんとか自前のカメラに収めようとするおびただしい数のカメラが頭上に差し出され、モナリザじゃなく、前の人の頭しか写りません。やっと最前列に出られた瞬間、シャッターを切る間もないまま警備員に”move!”と言われつまみだされてしまいました。
(やっと会えた!『モナリザの微笑』)
もう一度後ろから並び直して再チャレンジです。
(『カナの婚宴』:ヴェロネーゼ)
この部屋には、ルーブル最大の絵画『カナの婚宴』が『モナリザの微笑』の向かい側にあるのですが、ヴェロネーゼの大作の前に立ち止まる人が少ないのは残念です。
(『サモトラケのニケ』)
あまりの混雑に、ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」や「ミロのヴィーナス」を探すのはあきらめ、フェルメールの展示室を探しました。
(ルーブルにフェルメールの作品は2点)
この日のルーブルには珍しく静かなフェルメールの展示室にようやくたどり着くと、2点の絵画のうち『天文学者』は、残念ながらアトランタの美術館に貸し出し中のようでした。
(『レースを編む女』:フェルメール)
でも、原寸が24×21センチという『レースを編む女』と再会できたのでやれやれです。
特製の額縁に入れられたこの小品は、洋服やタペストリーなどの布地や糸の質感の違いが丹念に描かれており、フェルメールのファンには見逃せない傑作だと思います。
(カルーゼル凱旋門)
広いルーブル美術館内を2時間あまりのスピード見学で切り上げた私たちは、カルーゼル凱旋門の横を通り、凍てつくような寒さの中、チュイルリー公園を抜けて次の目的地へのメトロ駅に向かいました。
公園内のカフェではシナモン入りの「Vin Chaud」の看板がでていました。ドイツではグリュー・ワインがおなじみですが、フランスでもこの季節には、カフェなどであつあつの赤ワインが飲めます。でも、風邪薬を飲んでいる私は残念ながらアルコールはパス。
「Vin Chaud」は、最近日本でもメニューにのせているカフェを見つけたのでまたの機会に楽しむことに致しましょう。
パリ、セーヌ川のほとりで、故ダイアナ元妃の記念碑を見つけました [海外旅行]
(ケ・ブランリー美術館)
元日の朝もパリは厳しい冷え込みでしたが、2006年にセーヌ左岸のエッフェル塔そばにオープンした「ケ・ブランリー美術館」に行きました。
(ケ・ブランリーは斬新な建物)
アフリカとオセアニアのコレクションが充実している国立の美術館は、フランスの『植民地時代の遺産の活用』という課題の元に新設されましたが、展示方法を含めて新しい美術館のあり方を模索していると聞きました。
ヨーロッパ以外の4大陸、アフリカ・アジア・オセアニア・南北アメリカ大陸から集められた原始美術や少数民族のコレクションですが、日本関係の展示は驚くほど小さなスペースでした。(個人的には、日本を紹介するのに何故このアイテムなのか?など多々疑問あり)
民俗学にはあまり詳しくないし、年末からの風邪のせいで体調が良くなかった私と娘は、館内をさくっと鑑賞してから、テラス席からエッフェル塔がよく見えるというカフェで軽いランチを摂りました。
(カフェからの眺め)
晴れていたら、とてもすばらしい景観のはずだったのですが、あいにくエッフェル塔の上部は雲の中。
このカフェは、美術館に関係なく利用できるので、天気の良い日にエッフェル塔をみながらのんびりしたいならイチオシの穴場です。そんなに寒くない時なら、屋外のテラス席が特におすすめですが、最高気温もマイナスになろうかという過酷な環境下では、外を希望するお客さんはいなかったようです。
入店待ちの列が長くなってきたので、私たちはカフェを出てセーヌ川にかかるアルマ橋を渡りました。
(アルマ橋からみたエッフェル塔)
(故ダイアナ元妃の事故現場はこの下のトンネル)
(「自由の炎」は、故ダイアナ元妃の記念碑にもなっている)
橋を渡りきったところの広場に金色の炎の形をしたモニュメントがあり、観光客が写真をとっています。なんだろう?と近づいてみると、故ダイアナ元妃の写真や、少し枯れかけた小さな花束がいくつもおかれていました。
1997年の8月、パパラッチの追跡を受けていたダイアナ元妃の車が事故にあったのはこの広場の下のトンネル内道路だったのです。私がはじめてパリを訪れた時に、その現場をバスで通ったのですが、この広場のことは今まで気づきませんでした。
持ち歩いていたガイドブックをみて『自由の炎』という記念碑であることを知りました。
1989年に、ニューヨークの『自由の女神像』の修復作業に対する感謝の記念にアメリカからフランスに寄贈されたものですが、金色の炎は、『自由の女神像』が世界を照らす松明部分のレプリカだったのですね。
ダイアナ元妃が事故死した悪夢の翌朝、“花束に覆い尽くされた『自由の炎』”をニュース映像でみたことを思い出しました。
事故のあった数日後、記念碑の広場は、ダイアナ元妃もファンだったという“20世紀の歌姫”マリア・カラス(ニューヨーク生まれ)の名前を取って「マリア・カラス広場」と命名されたとのこと。以来、仏米友好関係を象徴する『自由の炎』は、世界中から訪れるダイアナ元妃のファンによる花束が絶えないそうで、ダイアナ記念碑ともなっているそうです。
(エルトン・ジョン)
ところで、全くの偶然ですが、前夜ホテルの部屋で見ていたテレビの特番で、エルトン・ジョンが歌っているのを見かけました。故ダイアナ元妃と親交が深かったエルトン・ジョンが歌った「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」のシングルCDは、私も購入しましたが、全世界で3700万枚というシングル市場最大の枚数を売り上げがありました。
あの痛ましい事故の日から早くも10年以上が経過したのに、今でも訪れる人や花束が絶えない故ダイアナ妃。若くして急逝した美しい人のイメージは永遠に美しいまま・・・
年末のパリでも「ラデュレ」の店頭には、マカロンを求める人の列ができていました [海外旅行]
(ボナパルト通りにある「ラデュレ」)
銀座・三越に「ラデユレ」のサロン・ド・テが昨年7月開店し、行列のできる銀座の新名所(?)となっていることはこのブログでもご紹介しましたが、昨年末訪れたパリでもマカロンなどのお菓子を求める人の行列ができていました。
私は「ラデュレ」のパリ市内にある店舗の中で、本店であるサンジェルマン・デ・プレのお店には行ったことがなかったので、今回、ボナパルト通りにある本店でお茶をして、日本で入手しにくい小物を買うのが楽しみでした。
(サンジェルマン・デ・プレで見たパリ名物「焼き栗売り」)
私たちが「ラデュレ」に行ったのは、12月29日の午後。
サンジェルマン・デ・プレ エリアには「レ・ドゥ・マゴ」や「カフェ・ドゥ・フロール」などの有名カフェや、「ルイ・ヴィトン」「C・ディオール」などのブランド店もたくさんあり、観光客だけでなく地元の人たちも家族連れで買い物にきていましたが、クリスマス休暇の流れで年末に休暇を取る人が多いのでしょうか。
(「ラデュレ」のディスプレイ)
クリスマス商戦が終わるとすぐにお正月モードに切り替わる日本と違って、どの店でも新年までクリスマス仕様のディスプレイやイルミネーションを続けるようで、「ラデュレ」のウインドウ・ディスプレイも、クリスマス仕様に美しく飾られていました。
(「ラデュレ」のサロン・ド・テ)
私たちは、まずサロン・ド・テの入店待ちの列に並びました。ランチタイムを過ぎているのでほどなく1Fのティールームに案内されましたが、オリエンタルな雰囲気漂うコロニアル様式というような不思議なインテリアでした。ガイドブックで見ていた“2Fのティールームは、貴族の館のような重厚なインテリア”という説明とのギャップにちょっと驚きました。
三越店でもお馴染みの分厚いメニューを見ながら何をオーダーするか?悩むことしばし・・・
どうやらフランス語に弱い私たちだけでなく、フランス人とおぼしき人たちもじっくり選定するようで、ギャルソンにせかされることはありませんでした。
(「ルリジューズ」)
悩んだ末に結局二人ともシュー生地を使ったフランス伝統菓子のルリジューズに決定。
私は、バイオレットクリーム、娘はバラのクリームにしましたが、両方味見した感想としては、バラの方が間違いのない美味しさかもしれません。
ボナペティ! とっておきのパリの旅 ~パリで見つけたおいしいものとかわいいもの~
- 作者: 小林 かなえ
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2008/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
そういえば、小林かなえさんの「とっておきのパリの旅」という本にも“今パリではマカロンとルリジューズがトレンド”と書いてあり、フランス人は伝統的な良さを活かして新しいスタイルで提案する料理やスイーツが好きとのこと。
1862年創業の「ラデュレ」も、マカロン・ボックスの季節限定品が登場したり、毎回選ぶ楽しみがありますが、ルリジューズはショッピングバッグのモチーフにも採用されており、マカロンと並ぶ「ラデュレ」の看板スイーツのひとつで、色々なフレーバーがあります。
私は、マリー・アントワネットと名付けられた紅茶を頼みましたが、娘に運ばれてきたお茶は頼んだ物とは違うバラのフレーバーの中国茶。オーダーを取りに来たギャルソンが目の前でメモをとらなかったので、やはり間違えた様です。結果的に注文したスイーツには良く合うフレーバーだったのでよしとしましたが、三越店でもオーダー間違いのお茶が来たことがありますし、この店は、複雑なフレーバーのお茶を提供する割には、正確さは追求しない主義なのでしょうか。
(「ラデュレ」の季節限定商品のチャーム)
私たちはお茶とスイーツでゆっくりくつろいだ後、お菓子モチーフの小物などがたくさん並べられた売り場でさくっとお買い物。日本人のスタッフがいたので、日本語でやりとりしながらクリスマス限定デザインのミニ・ショッピングバッグなどを買いました。
(「ラデュレ」のマカロン売り場)
最後に立ち寄ったマカロンなどの売り場では、お客さんの長い行列が1列に並んで移動していました。まず最初に容器などを決めてから商品を注文し、レジでお金と引き替えに商品を受け取る仕組みですが、三越店よりも回転がよいので短時間ですみました。この売り場ではマカロンやスイーツの他にコンフィチュールやシャンパンなども売っていました。
(「ラデュレ」のマカロンはやっぱりおいしい)
マカロンのボックスは本当に可愛いいデザインですが、今回はホテルでのお茶うけとしてミニマカロンを6個だけ買った(7.2ユーロ)ので、簡易な紙袋にいれてくれました。
(大晦日の「ラデュレ」は、店外まで人の列)
(シャンゼリゼ通りの「ラデュレ」は店舗が広い)
さて、パリ市内にある「ラデュレ」の他店舗についても、前を通りかかった時にチェックしましたが、店舗によってイルミネーションやディスプレイは異なっていました。
大晦日の夕方のマドレーヌ寺院近くのお店は店の外まで行列。元々利便性の良い場所にあるこのお店は、夕方になると仕事帰りにマカロンを求める人の行列が日常的にできていました。この店は地元客も多く、サロン・ド・テは手狭ですがいつも活気があります。
店舗が広いシャンゼリゼ通りのサロン・ド・テなら通りを行き交う人々を眺めながらのんびりお茶ができます。
(マカロンの巨匠?「ピエール・エルメ」の店も行列)
ニューイヤー・イブの日は、フランス人にとっても特別な日らしく、シャンパンやオードブル、スイーツを扱うお店はどこも大にぎわいでした。そしてうれしいことに地下鉄もフリーパスで乗車出来るのです。(正確にはわかりませんが、大晦日の夕方から、元日の午前中は改札口が開放されていました)
ボルドー生まれの「カヌレ専門店・ルモワン」 [海外旅行]
(ボルドー生まれのフランス伝統菓子「カヌレ」)
日本でも、しばらく前に大ブームになった「カヌレ」というフランス・ボルドー生まれの焼き菓子があります。
『カヌレブーム』の時は、私もあちこちのお店で買ってきて食べ比べしていたのですが、この数年は、プランタン銀座店にあるブーランジェリー「ビゴの店」で、時々買うくらい。香ばしくキャラメル色に焦げた外観と、ラム酒の香りがするカスタード風味のもちもちした食感は好みなのですが、外側がぱりっとしていない不満がありました。
今回、年末年始のパリ旅行に際して、グルメスポット情報を整理していたら、パリ在住の友人のブログでも紹介されている「カヌレ専門店・Lemoine」のカヌレは外側がカリッとしているのが特徴とのこと。18世紀にボルドーで創業したルモワンは、ボルドー近辺に5店舗ありますが、パリに進出したのは、2006年。エッフェル塔近くにあるお店では、「カヌレ専門店」でありながら、日本では入手できない手作りのチョコレートやマロングラッセ、サン・マロのラファエル農園特製のコンフィチュールなども扱っているということで、私の好みにぴったりです。
最近日本にも進出した「ラデュレ」の本店と共に、「カヌレ専門店・Lemoine」は、私のパリでのショッピング・リストのトップになりました。
(ナポレオンが地下に眠る「アンヴァリッド」)
(「ルモワン」のあるサン・ドミニック通り。
この近辺には人気のビストロなども多い)
年中無休というお店には、毎日焼きたてのカヌレが店頭に並ぶというので、大晦日の午後、エッフェル塔やアンヴァリッドに近いパリ7区にあるお店に向かいました。
(「カヌレ専門店・ルモワン」)
サン・ドミニック通りに面したお店はシックな黒の外観で、ウインドウ・ディスプレイからもお菓子のセレクトショップ的な香りが漂ってきます。
(小さなブティックで作られたお菓子)
幸運にも店頭で私を出迎えてくれたのは、お店のオーナーで、月の半分ずつをボルドーと行き来しているというマダム・ルモワンご自身でした。「日本人ですか?」などととても気さくな応対でしたが、私の仏語力に問題があり、チョコレートの細かいオーダーはあきらめてボックス入りで求めることにしました。(私が行った時は不在でしたが、お店には、日本人スタッフも働いているそうです)
(とびきりのコンフィチュール)
果肉の含有率がとても高いと評判のラファエル農園のコンフィチュールは、真っ先にイチジクを探しましたが見あたらなかったので、レモンと3種のベリーにしました。本当はもっと沢山買いたかったけれど瓶入りなのでスーツケースの重量を考えて2個にし、マロン・グラッセを買いました。
(絶品の、ベベ・カヌレ)
そして、お目当てのカヌレですが、マダムがベベ・カヌレを試食させてくれました。外側のカリッとした食感が素晴らしく、これならいくつでも食べられそうな感じです。翌日になるとしっとりしてしまうけれど、美味しさは5日くらい日持ちするので15個入りにしました。胃袋に自信のある方には普通サイズをオススメしますが、私はスイーツ好きなのに甘い物でも別腹とはいかないので、ベベ・カヌレがぴったり。
買ってきたベベ・カヌレはホテルで早速いただきましたが、今まで食べていたカヌレとこの店のカヌレは別物・・・
カヌレは一つずつ焼き加減が違うようですが、どちらかといえばよく焼けて香ばしい物が私の好み。箱入りでなくバラで買うときは店頭でお好みを伝えれば好きな焼き加減のものが食べられるとのこと。
毎日店頭で焼くカヌレの製造個数には限りがありますが、帰国当日にお店に行けば、日本へのおみやげにもなるでしょう。私が買ったアイテムの他にもボルドーに近いバスク地方の焼き菓子など、他の店ではあまり置いていないようなお菓子が色々おいてあるお店なので時間があったらゆっくり品定めをしたいところでした。
(マダム・ルモワン)
帰り際に、マダムに写真撮影をお願いしたら「カヌレを持った方がいいわね」と快くポーズをとってくださいました。働き者でチャーミングなマダムとご主人は「ルモワン」の6代目ですが、7代目であるその息子さん達もパティシエとなっているそうです。
元々はボルドーの修道女たちが作っていたフランスの伝統菓子は、このようにして次の時代に受け継がれていくのだということが実感できるお店でした。
「ルモワン」については、最近はガイドブックやネット情報誌などでも取り上げられており、なかなかの名店であることが後からわかりました。
冬のパリは北国だった・・・年末年始、念願の『海外脱出』を果たしたが [海外旅行]
(ホテルの部屋から:真冬のパリ、夜明けは遅い。朝8時過ぎのエッフェル塔)
(真冬には珍しく快晴のパリ:コンコルド広場)
年末年始に日本を脱出して、海外で優雅に年越しをすることは私の長年の夢でした。
もともとずぼら主婦なので、年末年始と言ってもたいして特別なことをするのではないのですが、なんとなく気ぜわしいので疲れます。お正月は親族が集まっておしゃべりし、買い物をしたり映画を観たりするくらいで、だらだら過ごしている内に休みが終わってしまう・・・何日休みがあっても代わり映えしない正月休みの過ごし方でした。
今年の正月休みは、カレンダーの並びで9連休となる娘に誘われ、折からのユーロ安を有効活用しようと、なけなしの預金をはたいて心機一転(?)パリに行ってきました。
(人気のグルメスポットでのランチ)
(イルミネーションが輝く、夜のシャンゼリゼ通り)
今回で4度目となるパリ訪問を、 “パリジェンヌ的グルメツアー”にしようと意気込んで、パリ在住の友人から『最新のグルメスポット情報』を収集し、娘と二人でそれぞれガイドブックも新たに買い込みました。もちろん、ブログの記事などのクチコミ情報もチェックしました。
(「ラファイエット」名物、ゴージャスなイルミネーション)
(爆破物騒ぎで警戒中の「プランタン」)
ひとりで留守番の家人のために、お餅やお節も早めに調達し、居間を大車輪で片づけてエアコンも買い換えました。年賀状の印刷も終えて、準備万端のはずでした・・・
が、、、ちょっとした隙をつかれたのか、出発直前にひいた風邪が、日中の最高気温零度前後というパリ滞在中に思ったより悪化して体力を消耗してしまいました。
(モネの「睡蓮の間」:オランジュリー美術館)
(「ルーブル」館内は、雑踏の町中状態)
(熱心な信者が祈りを捧げる、「奇跡のメダイ教会」)
(「ラデユレ」本店のウインドー・ディスプレイも季節限定仕様)
(おしゃれなティールームには鉄瓶がマッチする)
美術館や教会巡りと有名カフェでのお茶などはほぼ予定通りこなしたものの、有名シェフのビストロ巡りは1軒のみ、凱旋門またはエッフェル塔前広場での『年越しカウントダウン』に立ち会うのは断念しました。
(『EU議長国記念仕様』のエッフェル塔は見納め)
(曇り空の元日、アルマ橋からのエッフェル塔)
(エッフェル塔が見える街で暮らせたら・・・)
積み残し課題がいくつかできてしまいましたが、新しい発見もいくつかあったし、エッフェル塔をあきるほど眺め、美しいイルミネーションを堪能し、テロ警戒中のパリで事件や事故に出会うこともなく無事に帰国できたのですから贅沢はいえません。やり残したことがあるというのは、次にパリへ行くための楽しみがあるということですから・・・