『猫と文学と音楽の夕べ』、楽しかったけれど、立松和平さんの朗読が聴きたかった! [お気に入り]
平成22年2月22日は、猫好きの方にとっては“ニャンニャン ニャン ニャンニャン”と読めるので、通常の「猫の日」よりもさらに『佳き日』だったとか。
私は大熊猫(パンダ)大好きなれど、幼稚園児の頃親戚の家のこたつの中で居眠りしていた猫のしっぽを踏みつけて猫の逆襲にあったトラウマの故か、生きている猫はあまり得意ではないのですが、ニャンとも楽しい一夜でした。
猫にまつわる小説・エッセイをその作者ご自身に朗読していただき、それにふさわしい音楽をあわせるという趣向でしたが、朗読やお話をされたのは『わたし、猫語がわかるのよ』という本の執筆者で、直木賞受賞者が5人も含まれる豪華メンバー。
(向田邦子さんのエッセイを朗読する森ミドリさん:
2009.12.19 信州・原村)
森ミドリさんは、信州・原村のリングリンク・ホールのチェレスタ演奏会で何度かお会いしていますが、昨年12月の原村で、朗読した向田邦子さんのエッセイのテーマ「白鳥」にあわせた演奏を聴かせていただいたのが大変面白く、今回のコンサートが楽しみでした。
さて、その夜出演された作家の方々は、吉岡忍、西木正明、出久根達郎、志茂田景樹、太田治子、阿刀田高、浅田次郎の諸氏でしたが、久方ぶりにお姿を拝見した景樹さんはもうすぐ70歳とは思えぬ過激なファッションで、創作童話で身振り手振りをまじえた『語り聞かせ』を熱演。
美術関係の著作も多い太田治子さんは、太宰治と『斜陽』のモデル太田静子さんのお嬢さんですが、竹久夢二の“黒猫”をモチーフにした美術小説を味わい深い朗読で披露。NHKの美術番組に出演されていた20代の雰囲気のまま歳を重ねられたように見えます。
森ミドリさんのチェレスタ演奏を挿入音楽(?)にした作家の方々の朗読やお話はどれも楽しく聴かせていただいたのですが、出久根達郎さんや阿刀田高さんの作品は最後の落ちが面白く、会場に笑い声が巻き起こっていました。
本日の演奏で私的に一番受けたのは、小原孝さんの「ねこふんじゃったスペシャル」です。子どものいたずら弾きの代表曲というイメージが強い曲ですが、モーツアルト風にアレンジしたり「ねこふんじゃった」は奥の深い楽曲なんですね。
それにしてもこの舞台に出演予定だった立松和平氏が2月8日に急逝され、元気なお姿を間近に見ることができなかったことは残念でした。
立松さんの訃報報道で、久米宏さんがキャスターだった「ニュースステーション」で何度も聴いた“立松節”を久しぶりに耳にしましたが、できればもう少し長生きしていただきたかった!
そして、あの朴訥な語り口で、ご自身の作品を朗読する立松和平さんの声を聴きたかった!
謹んでご冥福をお祈りいたします。