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田植えから稲刈りまで初めての農作業体験で、楽しみながら学んだ [食べること]

  

最近、食の安全・安心が揺らぐようなニュースがあふれていますが、“昔のお母さんは何でも家で作ったのだから、料理は手作りするべきだ”という識者の意見もあります。
日本の食料自給率は低下し、現在はカロリーベースで40%まで低下しています。生鮮食品も世界各地から輸入している状況で冷凍食品などすぐ食べられる加工食品に頼らず、手作りすればそれで安心が確保できるのでしょうか?

私は、東京育ちで田舎もないため、日本の農業事情には疎くこれまで家庭菜園などもやったことがありませんでした。しかし、昨年、あるNPO法人の「米作りと自然の恵みを楽しむ会」に参加し、田植えから収穫までの農作業を体験しました。安心・安全な有機農法による米作りを通して、農業の大切さや日本古来の知恵を学びながら、農家の方や環境問題に関心の高い方々とも交流しました。1年間の農作業を通して、日本の農家や農業を取り巻く現状の一端を肌で感じることができましたが、農業は自然との共生であり、特に米作りは地域全体の協力なくしてはならない作業であることがよくわかりました。

今回のプロジェクトでは、必要な農作業の内、実際に会員が作業するのは、「田植え」「田の草取り」「稲刈り&ハザ掛け」「脱穀~精米作業→収穫したお米の分配」という節目のイベントのみで、あとの農作業は専門家にお任せするというおいしい企画です。
農作業の指導と実作業を担当してくださる地元の農家の方のお話をきくと、私たちは、もう今の日本では効率の悪さから廃れてしまった昔ながらの農作業をやるということがわかりました。
参加者のおひとりの“一度田植えをすると、田んぼのグニュっという感触がやみつきになるよ”というコトバに惹かれて、1年間の参加費を払い込みました。

  
6月9日は、メインイベントの田植え」。周辺の田んぼより約1ヶ月遅い日程です。
今回農家からお借りした田んぼの面積は5アールなので、会員の募集人数は50名を予定していたのですが、クチコミで希望者が増え、当初の予定数をオーバーする盛況になりました。年齢層も幅広く上は60代から、下は保育園児まで。ファミリーでの参加者も多く、若い女性の参加者も多数。
3月の種子消毒作業から始まり、田んぼの堆肥、しろかきなど田植えまでの下準備作業は農家の方の手で進められました。当日運び込まれた青々とした「キヌヒカリ」の苗を皆が交代で田んぼに入って楽しい「田植え」体験です。
キヌヒカリ」は「コシヒカリ」より足腰が強いので、農薬を使わない有機栽培に適した品種ですが、種子消毒も薬を使わず、熱湯による消毒。ここでも、通常の農作業より一手間かけられています。
大人も子供もどろんこ遊びを思い出し、ぬかるんだ田んぼに足をとられて転ばないように、低い姿勢で慎重に移動しながら苗を植えました

「田植機」を使わないので、なかなかきれいに植えられませんが、“間隔をきちんとあけてまっすぐ植えないとあとの農作業がやりにくい”という注意がありました。でも、写真でみても、畝がまっすぐでなかったり、苗の密度にばらつきが・・・

8月の終わり、炎天下の青々とした稲は、追肥をされて背丈も伸び、穂が少しずつ出ています。カラスや野鳥対策に防鳥ネットも張りました。
グループ作業で事前に準備した小道具でアイデア満載のユニークな案山子が何体も製作されました。

  

田んぼの脇の街路灯が明るすぎて稲の成長に悪影響の懸念があるため、市役所に道路の照明を止める手配もしてありました。夜間も光を浴びた稲は、背丈は伸びても実が付かないそうです

  

10月中旬、農家の方の丹誠込めた作業で私たちも無事収穫の時をむかえることができました。9月はじめの台風で倒れた案山子も修復されています。
周辺の田んぼはすっかり収穫が終わり、稲刈りを待つのはこの田んぼだけです。
5アールの田んぼに黄金色に実った稲をのこぎり鎌で刈り取る作業も、人海戦術であっという間に終了。

わらで束ねて、昔懐かしいハザ掛けで天日干しをします
普段の農作業では、稲の天日干しはせず乾燥室の中で一晩で乾かしてしまうとのこと。

そして、1ヶ月後、待ち遠しかった「収穫祭」です。
10月末の台風により倒れてしまったハザ掛けの修復作業や、収穫祭当日雨が予想されたため、脱穀と調整作業は有志の方が作業しました。
「収穫祭」当日、私は農家の作業場での「もみすり&袋詰め班」に参加しましたが、一連の作業はすべて機械が自動で行ってくれます。大きな機械が並んだ作業場はまるで、工場の生産ラインのようなのに驚きましたが、一緒についてきた小さい子供たちは、初めて見るもみすり機械や精米器から猛スピードで出てくるお米に大興奮でした。
収穫したお米は玄米で163キロ。白米に精米したものを分配用に4キロずつ小分けし袋詰めしました。
作業の合間には、農家の奥様から無農薬野菜の栽培のお話をうかがい、新鮮な無農薬野菜を分けて頂きました。手間暇かけた分少し高い無農薬野菜は、毎週、土・日の午後から直売所で販売されているそうですが、都心に通勤する20代の息子さんの年収よりも農業収入は少ないとか・・・


「収穫祭」の会場に戻り、別の班が準備してくれたつきたてのお祝い餅をいただきました。
午後からは、一部の会員による「楽農バンド」のミニ・ライブが「収穫祭」を盛り上げ、分配されたお米を持ち帰ることで、イベントはすべて終了

後になって、“玄米のままで受け取りたかった”という意見があり、がっかりした方がいたことは残念でした。良質の米ぬかを希望者で分けて持ち帰ってもらうことでなんとか収拾しましたが、栄養豊富な有機栽培のお米を白米にしたのは確かにもったいないことでした
このようなプロジェクトが少しずつでも拡がっていくことで、日本の農業に対する一人一人の理解が深まるとよいのですが。


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