魔界のヴァイオリンHISAYA の世界にどっぷりはまる・・・ヴァイオリニスト・佐藤久成さん [私的音楽紀行]
2月初旬、森ミドリさんのメモリアル・バースデーのソロコンサートに伺いました。
音楽家で天来の妙音といわれるチェレスタの演奏で知られる森ミドリさんとは、原村の小さなホールでの演奏会がご縁で親しくさせていただき、東京近辺のコンサートにはたびたびお邪魔しています。
このブログでも、以前何度かご紹介していますが、森ミドリさんがゲストとして招く多彩なジャンルの芸術家の方々との演奏や楽しいトークで私の知らない世界に誘ってくださるありがたいコンサートです。
今回は、珍しくソロコンサートで森ミドリさんのチェレスタとピアノをたっぷり聴けるはずというふれこみでしたが、友人と誘い合わせて出かけた汐留の小さなホールでは思いがけない出会いが待っていました。
第二部がスタートして間もなく「大きな荷物が届いたようです」というご案内と共に、ヴァイオリニストの佐藤久成さんがヴァイオリンを弾きながら現れました。
(ヴァイオリニスト・佐藤久成氏)
Phptoby佐藤久成ヴァイオリン・リサイタルチラシより
サプライズ・ゲストとして登場した佐藤久成さんは、森ミドリさんの「クリスマスなコンサート」(2016年12月)の共演者だったのですが、私はこの日が初めてでした。
森ミドリさんの軽妙なトークと共に次々と披露されるヴァイオリン演奏があまりにも衝撃的で、私はただただ演奏に耳を傾けていました。
小柄な身体から繰り出される音色は、森ミドリさんが「言葉に表せぬほどの、また、打ち震えるほどの魂の音色を、皆様に間近でお聴きいただければ、、、」と12月の案内状に記されていた通りでした。
特に、モンティ作曲の「チャールダーシュ」。
このハンガリー・ジプシー民族舞曲は、多くのファンに親しまれている名曲ですが、テンポが速く超絶技巧系のテクニックが求められる部分の“火花が散るような名人芸”(宇野功芳氏のCD解説より)は圧巻でした。
(Photo by 「わがまま歩き」)
なにより、この音楽にのって民族衣装の女性たちが長いスカートを翻して踊り狂う光景が目に浮かぶような日本人離れした演奏に惹きつけられました。
コンサート会場で数枚のCDが販売されていたのですが、私は子どものころから聴く機会が多かったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」と共に「チャールダーシュ」などが収録されているアルバムを購入。
HISAYA 魔界のヴァイオリン ~ HISAYA SATO , Violin / YASUKO TOBA , Piano
- アーティスト: ベートーヴェン,ブラームス,ファリャ,マリー,ドルドラ,クライスラー,マスネ,モンティ,ショパン,佐藤久成 (ヴァイオリン),鳥羽泰子 (ピアノ)
- 出版社/メーカー: SAKURA
- 発売日: 2013/03/30
- メディア: CD
佐藤久成さんが奏でる「春のソナタ」は、これまで私が聴いたことのある「春のソナタ」とはまったく別物。個性的で変貌自在の演奏なので聴き手によって賛否両論あるかもしれませんが私は優等生的な演奏よりも“全身全霊をもって曲に立ち向かい、体当たりをしている”(宇野功芳氏のCD解説より)演奏に感動しました。
佐藤久成さんの公式サイト
http://www.hisayasato.com/
で情報取集し、彼の類まれな才能を見出し、自らCDを企画した音楽評論家宇野功芳氏(故人)が指揮するオーケストラと共演した「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」が収録されているCDも購入。
こちらも個性満開のヴァイオリン演奏が堪能できるCDです。
先日、神保町の小さなブックカフェで開かれた演奏とトークのイベントに参加して3枚目のCDを購入し、懇親会で少しだけ直接お話もできました。
- アーティスト: 佐藤久成,シューベルト,ドヴォルザーク,プロコフィエフ,ラヴェル,ラフマニノフ,リスト,ルビンシテイン,エルガー,ゴセック,サラサーテ,シマノフスキ,ラフ,小田裕之
- 出版社/メーカー: SAKURA
- 発売日: 2015/02/28
- メディア: CD
スマホに入れた佐藤久成さんの演奏を、Bluetooth機能でスピーカーから流し、臨場感あふれる演奏を楽しむのがマイブーム。
一度聴いたら虜になる魔界のヴァイオリン演奏、どうやらますます深みにはまりそうです。
<お知らせ>
森ミドリさん作曲の混声合唱組曲「津和野」は、ウイーン少年合唱団の日本公演でも演奏されましたが、津和野にある安野光雅美術館で安野先生の詩に出合ったことがきっかけで誕生。
先日の森ミドリさんのバースデー・コンサートでは、合唱曲を佐藤久成さんがヴァイオリン演奏してくれましたが、3月19日(日)に、津和野の安野光雅美術館でお二人のお話とコンサートが予定されています。
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