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台湾パンダ事情・・・・赤ちゃんパンダが生まれたばかりの台北市立動物園金園長講演会から [パンダ]

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台北市立動物園のパンダ舎ロビー
(記事の写真はすべて20011年10月訪問時の情報です)


今年の78日に待望の赤ちゃんパンダが誕生し、先日「ママに抱かれてご満悦の赤ちゃん」という写真が発表されました。



※パンダの赤ちゃん誕生のニュースについてはこちらの記事でもご紹介しています。


台湾と中国の微妙な政治環境の中、200812月、台北市立動物園に中国四川省出身のパンダが来園してから5年目の歓喜ですが、パンダ好きとして上野動物園主催の講演会に参加し、来日中の台北市立動物園金園長によるここまでの長く険しい道のりのお話を伺い、21世紀の動物園のあり方なども含めて色々考えさせられました。


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動物園の入口は、「動物園駅」で下車して徒歩すぐ
(パンダ観覧者の人数を制限するため、混雑時は入口で整理券を配布:観覧情報は動物園に向かう途中のMRTの駅などでも入手できる)


台北市立動物園は、日本統治時代の1914年に開園し、かつては圓山動物園と呼ばれたアジア最大の動物園だったそうですが、1986年に現在の台北市南東部木柵地区に移転したとのこと。都心からMRT30分足らずで行ける場所ですが、動物園の裏手は観光客に人気の茶芸館と茶畑が広がる猫空エリア。


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パンダ舎(赤い円)の手前にコアラ舎(青い円)もあるが、
園内は広いので、インフォメーションセンターで案内図をGET


緑豊かで南国情緒溢れる広い動物園内にはパンダ以外にもコアラなどの稀少動物が飼育されています。台湾を代表する歴史ある動物園ですが、中国との関係もあってパンダの受入準備には30年を要したとか。

2003年、パンダが来台することを希望する人は55%、36%は全く希望しないという状況の中、有力企業の協賛を得て、パンダ飼育施設「新光特展館」の建設が始まりました。

絶滅危惧種であるパンダを借り受けて飼育する動物園は、情報の公開および交換、実務経験者の交流、一般人のパンダの理解を高めることを義務づけられていますが、台北のパンダ舎は国際会議室を備えている先進的な飼育施設です。


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入口(写真奥)から見て右側にパンダの観覧案内ボード
:1日あたりのパンダの観覧者数は、最大19,000人程度に制限。混雑時は、10分刻みで指定される整理券の時刻に従って並ぶ(長時間並ぶ必要がない)


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4階建てのパンダ舎(新光特展館)
手前は屋外放飼場
(面積は765㎡)

亜熱帯気候の台北では、パンダは通年室内展示がメインと思われる


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パンダ舎入口の、パンダ(白黒の熊)とツキノワグマ(黒熊):台湾固有のツキノワグマも絶滅の危機にあることをPR


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竹をインテリアデザインのモチーフにしたパンダ舎の室内:
パンダ舎は「保育」、「教育」、「研究」の場であることを示すバナー


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◆1Fはパンダの室内展示室(エアコン完備、録画モニター)
パンダの主食の竹を1週間分保管する竹庫

◆展示室の前には、パンダの生態などの解説資料展示スペース

◆2Fは食堂と土産物売場
◆上階には国際会議室も備える


“山紫水明の地”をイメージした(?)飼育空間

パンダ團團の室内展示室>
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パンダ圓圓の室内展示室>

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さて、今回の赤ちゃん誕生についてですが、台北のカップルは上野のカップルの1年先輩で、オスの團團はリーリーの異母きょうだいながら自然交配ができないため人工授精を実施。

人工授精は妊娠の確率を高める最新の医療技術が用いられましたが、今回
7回目となる人工授精でようやく赤ちゃんが無事誕生。しかし、その6時間後に赤ちゃんパンダが足に怪我していることが判明したため母親と分離し保育器で育てることを決断。

その間、搾乳した初乳を赤ちゃんに与え赤ちゃんの健康管理につとめる傍ら、母パンダに対しては母子がスムーズに同居できるような様々な工夫が為されていました。
中でも、鳴き声を発する赤ちゃんパンダのぬいぐるみの使い方はとてもユニークで感心させられました。

講演会では赤ちゃん誕生から、生後31日目に母子を再会させ、慣らし保育期間を経て39日目に母子を同居させるまでのプロセスが動画によって紹介されましたが、You tubeで一般公開され人気を博しているそうです。
また連日、新しい情報がリリースされるのでメディアへの露出も多くなり、赤ちゃん誕生は一般人のパンダに対する理解を深める効果があるようです。


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台北市立動物園では、一般人のパンダに対する正確な知識教育に注力。
お土産グッズのパンダについても、パンダの白黒模様の位置などが正しい姿で表現されているかどうかをチェック。
しかし、安価なまがいものパンダグッズの横行はなかなか防げないとか。


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街で見かけたパンダさんたち


上野動物園は、東京都内有数の繁華街に近い立地をいかして、駅構内や商店街などとのコラボ活動により街ぐるみでパンダ人気を盛り上げていますが、台北市立動物園は周りに商店街がありません。
そこで、台北動物園教育基金会が中心となってアイデア溢れるタイアップ施策がとられているようです。

台湾では、国内外の種々の雑音を退けるためにも、実務レベルの担当者の技術研修などはもちろんのこと、パンダを台北で飼育することの意義を可視化するように努力されています。

特に、マスコミに対する情報公開を密にし、良き理解者としてメディアの協力を得やすい環境作りに腐心されているように感じました。

中国以外の国がパンダを飼育するということは、“パンダが可愛らしい人気者だから、動物園で展示して子供たちを喜ばせる”というような安易な考えでは決してなしえないことだとしみじみ思った講演会でした。




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kikiママ

あーや@パンダ様 こんにちは

こちらではジョージ様とお呼びした方がよろしいでしょうか。先日の講演会の詳細と台北のパンダさんの写真を拝見させていただきました。台北市立動物園は歴史ある動物園だけに、パンダ舎の環境設備は素晴らしいものですね。パンダさんが羨ましくなるほどです。
ブログを拝見しているうちに偶然、ミュージック・ライフのコーナーで森ミドリさんの「天来の妙音、チェレスタと声明 そして合唱」のコンサートは私もあの夜、奏楽堂へ聴きに行っておりました。もう5年もたつのですね。
ジョージ様のブログは奥が深く、楽しみながらも色々と勉強させていただいております。パンダの里親も興味が出ましてお試し気分で会員になってみました。
これからもパンダを始めたくさんのことを教えていただければ嬉しいです。またおじゃまさせていただきます。
by kikiママ (2013-09-04 16:06) 

ジョージ

kikiママ様、いつもありがとうございます。

so-netのニックネームがジョージだったのをそのままにしているので、このブログではジョージですが、最近は、あーや@パンダで発言する機会が多くなりました。

2011年の台湾訪問は約20年ぶりだったのですが、その間に台北は活力ある国際都市に進化していました。穏やかな気候と民度が高いのでしょうか、静かな場所も多く、疲れた心身を癒してくれる魅力ある街でした。赤ちゃんパンダが見頃になったらぜひ台北訪問をお勧めします。

さて、奏楽堂での森ミドリさんの演奏会にいらしていたとのことですが、私はミドリさんとは、原村のリングリンクホールでのご縁から時々コンサートなどにお邪魔しています。
ミドリさんは、作家の太田治子さんとのコラボで「文学コンサート」をなさったりとても素敵な方ですね。

パンダの里親になると、雅安の里親祭に参加する等のお楽しみがあるみたいですね。

パンダ以外にも、美術鑑賞、海外旅行など自分の好きなことをテーマにし拙いブログですがコメントをいただくと励みになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
by ジョージ (2013-09-05 14:29) 

あきこ

こんにちは、丁寧な解説を有難うございました。写真も綺麗です。台湾、凄く丁寧にパンダ育ててますね、清潔だし、実に丁寧だと思います。感心しました。うちの国で産まれた子だから返したくない、という台湾の人のコメントもみましたよ。なかなか微妙なかけひきのなかで二匹は台湾に来たのですね…。勉強になりました。
by あきこ (2018-01-30 02:16) 

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