スペインで食べた謎の?デザート「クワハダ」と、イベリコ豚の生ハムとの意外なつながり [海外旅行]
(「クワハダ」:
黒蜜をかけたくず餅のようなプリン?)
(カタルーニャ風プリン:
カスタードクリームを混ぜたあと冷蔵庫で冷やしただけよりも
凍らせた状態で食べる方が好みですが・・・)
(デザートビュッフェ:
甘いお菓子は一口だけで十分しあわせ)
今回のスペイン旅行は、添乗員同行で食事もそれなりについているツアーだったのでランチとディナーにはデザートが出ました。スイーツ大好きといいつつ、甘すぎるケーキが苦手で途中でギブアップしがちだった私が完食しただけでなくまた食べたいと思ったのは、グラナダのレストランのランチタイムに食べた「クワハダ」。
固める途中のくず餅か杏仁豆腐のようなぷるぷるしたプリン状のものに蜜をかけ、ナッツやレーズンなどをトッピングしたのどごしの良いデザートですが、黒蜜のせいか和風デザートみたいな懐かしい味だったのです。
帰国してから早速ネットで調べたら、「クワハダ」は、新鮮な羊のミルクで作ったデザートで、スペインのバスク地方では「クワハダ(Cuajada)」と呼びますが、フランスのバスク地方では「マミヤ(Mamia)」と呼ぶミルクデザートだということがわかりました。
スペイン国内では小型のプレーンヨーグルトみたいな容器入りが市販されていて、ハチミツやジャムを添えて食べるそうです。ハチミツを混ぜるとびっくりするほど風味が増すという人もいます。日本では、羊乳が殆ど流通していないので作れないし、あまり日持ちしないので見かけなかったのでしょう。
スペイン北部とフランスの両方にまたがるバスク地方の料理は、数年前から“パリで人気ビストロといえばバスク料理”といわれるほどブームになっていて、日本でも最近注目されているようです。
近頃は信者だけでなく普通の日本人にも観光スポットとして人気上昇中のスペイン北部にある有名な聖地サンティアゴまでの巡礼路は、実は山海の食の宝庫でもあるのです。私もこのエリアはいつの日か絶対自分自身の足で歩いてみたいと思っているのですが、果たして夢は叶うでしょうか。
(スペインの伝統菓子・ポルボロン:
口に入れるとすぐに崩れてしまう独特の食感。
高円寺にあるメルセス修道会シスター手作りのお菓子の味が好きでした)
(修道院手作りの「YEMAS」:
修道院は伝統菓子の宝庫?)
(ポルボロンとYEMAS)
さて、スペインのスイーツ系のお土産といえば、アーモンドの粉などで作った伝統菓子「ポルボロン」が有名ですが、今回「YEMAS」というお菓子を買いました。『卵黄』という名のそのお菓子を食べてみたら、形状こそ異なりますがポルトガル伝来という福岡の銘菓「鶏卵素麺」にそっくりの味でした。今回購入した「YEMAS」は、セビーリャの修道院製のものですが、スペイン各地で作られているのだとしたら鶏卵素麺の元になったお菓子とも関係がありそうです。
(「クワハダ」はハチミツと相性が良い。
特に黒蜜のようなコクのある甘さのハチミツがおいしかった!)
そして、 「クワハダ」にかけられていた黒蜜は、黒砂糖ではなく樫の木の葉から染み出てくる糖分をミツバチが集めてきた特殊なハチミツだったようです。翌日訪ねたアンダルシア地方の白い村の中でも特に美しいといわれるフリヒリアナで、名産品として黒いハチミツが売られていたのです。私はスーツケースの重量オーバーが心配でビン入りのハチミツは購入を控えたのですが、銀座の松屋にも店舗があるハチミツ専門店で購入できることがわかりました。 “エストレマドゥーラ州で採れた樫の木の甘露蜜は、キャラメルを思わせる香ばしさと黒蜜のようなコク。ほのかな塩味が印象的”という説明の商品です。
(エクストレマドゥーラ州産
イベリコ豚ベジョータ生ハム:
ドングリの香りがほのかに残る独特の風味とコクのある味わい)
アンダルシア地方にあるハブーゴ(JABUGO)村やポルトガルと隣接するエクストレマドゥーラ州では古くから黒豚の一種であるイベリコ豚のハムが生産され、中でも放牧後、樫の木のどんぐりのみで育てられた純血イベリコ豚はベジョータと呼ばれる最高級品。日本では驚くほど高価なので滅多に口にできませんが、生ハムと同じく特別な風味の黒蜜もスペイン中部から北部にかけて樫の木が多いことと関係があったというわけです。