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近頃気になる人物・カラヴァッジョ、バロック絵画の巨匠にして殺人者・・・ [私的美術紀行]

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現在上野の東京都美術館で開催中の「ボルゲーゼ美術館展」に行ってきました。

今回私のお目当ての絵画は、イタリアのバロック絵画の巨匠・カラヴァッジョ最晩年の作品のひとつである洗礼者ヨハネです。

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(絵はがき「洗礼者ヨハネ
ローマ・ボルゲーゼ美術館蔵)

憂いに満ち、脱力感の漂う表情のヨハネは一度観たら忘れない作品になりましたが、カラヴァッジョの作品で今回来日したのがこの1点だけというのはちょっと残念でした。

カラヴァッジョ(カラヴァッジォ)という画家は、日本ではまだその名前があまり知られていませんが、17世紀初頭にローマでバロック絵画を誕生させ、光と闇の演出による劇的な宗教画を数多く描いています。レンブラント、ルーベンス、ベラスケス、フェルメールなど多くの画家に影響を与えたと言われ、かつてのイタリア紙幣で最も高額な10万リラ札の顔になっていた人物です。

神や聖人を理想化しない現実的描写で描くカラヴァッジョの作品は、臨場感があふれており、観るものを惹きつける強烈な個性がありますが、好き嫌いの評価がわかれる画家かもしれません。

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映画カラヴァッジョ」チラシ)

没後400年を記念した映画も観ましたが、その人生は、“光の部分は限りなく美しく、影の部分は果てしなく罪深い”と、映画パンフレットに書かれた通りと言えます。

華やかなルネッサンスが終焉し、カトリック改革の道具として復権した宗教美術ですが、ドラマチックな明暗法と娼婦をモデルにして聖母マリア描くなど、徹底した写実描写で描かれたカラヴァッジョの絵は、しばしば教会から『品位』に欠けるとして祭壇に飾ることを拒否されたそうです

ふとした争いから殺人を犯してイタリア各地を逃亡する中で38歳の生涯を終えたカラヴァッジョは、喧嘩や暴行などで10数回もローマの犯罪記録に名を連ねているという波乱に満ちた人生・・・

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(「エマオの晩餐」:ミラノ・ブレラ美術館蔵
by 「週刊世界の美術館」09.7.16号より)

私がカラヴァッジョという画家の存在にはじめて気づいたのは、1999年のイタリア旅行。ミラノのブレラ美術館で観た「エマオの晩餐」という作品でした。

2人の弟子が、食卓を共にした男が復活したキリストであることを知る場面を描いた同名の作品は、ロンドンのナショナルギャラリーにもありますが、後から描かれたブレラ美術館蔵のキリストの表情の方が個人的には好みです。

ミラノで感銘を受けながら、その後カラヴァッジョのことはすっかり忘れたまま海外の美術館巡りを重ねていた私が、カラヴァッジョの魅力を再発見したのは、有地京子先生の名画解説セミナーを受講したのがきっかけでした。

天才画家にして殺人者という経歴なのに数々の素晴らしい宗教画を遺しているカラヴァッジョに興味を覚えて、手元にあるいくつかの美術書を紐解いてみれば、私は、カラヴァッジョの作品を他にもいくつか鑑賞しているようなのです

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(「アレクサンドリアの聖女カタリナ」:
マドリード・ティッセン美術館蔵
by「週刊世界の美術館」01.2.6号より)

1998年訪問したとき、私はカラヴァッジョの存在をまだ知らなかったがこの絵は見た気がします。

★「キリストの埋葬」:ローマ・ヴァティカン絵画館蔵。
記憶にはありませんが
1999年訪問時、ガイドの案内で宗教画は注意深く鑑賞しました。

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(「バッカス」:フィレンツェ・ウフィツィ美術館蔵
by「週刊世界の美術館」08.12.11号より)


★1999年に訪問したフィレンツェ・ウフィツィ美術館は、素晴らしいガイドさんに案内されて見学。
バッカス」、メドゥーサ」は印象に残っていますが、「イサクの犠牲」は?

★「合奏」:ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵。2000年に訪問していますが・・・

★「トカゲに噛まれた少年」、「エマオの晩餐」、「サロメ」:ロンドン・ナショナルギャラリー蔵。2001年に訪問していますが・・・

★「聖母の死」、「女占い師」、「アロフ・ド・ヴィニャクールの肖像」:パリ・ルーヴル美術館蔵。2001年、2008年の2回訪問していますが・・・

2004年に訪問したフィレンツェ・ピッティ美術館の「眠るアモール」は覚えていますが、「アントニオ・マルテッリの肖像」は記憶なし。

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(「ロザリオの聖母」:ウイーン・美術史美術館蔵。
by「週刊世界の美術館」09.6.4号より)

2007年に訪問しています。多分観たはず・・・

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勝ち誇るアモル」:ベルリン美術館蔵
by「週刊世界の美術館」09.1.29号より)

中には、作品は観た記憶があるがカラヴァッジョ作品という認識がなかったものもありますが、“接近すれども遭遇せず”という状況があまりにも多かったことにショックを受けてしまいました。

海外の美術館巡りが趣味となってからは、事前に必見絵画を予習して行くのですが、カラヴァッジョは日本人にとってあまりなじみのない画家ということもあって必見リストから漏れていたようです。

さすがに、2008年に訪問したベルリン美術館の「勝ち誇るアモル」は印象に残っていましたが、それにしても、他の著名画家の作品の前に記憶が薄れてしまったのか、作品そのものを見落としたのか・・・

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ベルリン近郊・ポツダムのサン・スーシー宮殿
「ポツダム会談」の行われた街には、フリードリッヒ大王の夏の離宮があります。

18世紀のフランス式造園法による美しい公園があり、宮殿の大階段には葡萄が植えられています。
フランス語の“憂いのない”に由来するサン・スーシー宮殿には、ドイツ最古の美術館があり、宮殿ツアーの待ち時間にルーベンスなどの作品を鑑賞しました。

★2008年に訪問した宮殿内美術館にも「聖トマスの不信」という作品があったのです。

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ルーヴル美術館のイタリア絵画展示エリアは「モナリザ」目当ての人で混雑。)

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(「美しき女庭師」:ラファエロの名画も、回廊にさりげなくかかっているので、うっかりすると見逃してしまいそう・・・)



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