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藤村俊介さんの「ラフマニノフ・チェロソナタ」を聴いて、フラストレーションが吹っ飛びました! [ミュージック・ライフ]

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信州・原村リングリンク・ホールではお馴染みのチェロ奏者、藤村俊介さんの銀座・王子ホールでのリサイタルに行ってきました。

クラシック音楽の世界も、最近は技量だけでなく容姿端麗でないと人気演奏家になれない時代といいますが、藤村さんのことを“チェロ界のヨン様”という人もいるとか。

今回は、5月に原村で演奏された「ラフマニノフ・チェロソナタを、ウイーン在住のピアニスト、アヴォ・クユムジャンさんとの共演で、もう一度聴けるというのがとても楽しみでした。

企業のメセナ活動の一環として本社ビルに併設されたこのホールでの演奏会は初体験でしたが、銀座のど真ん中にあるアクセスの良い場所で一流演奏家のコンサートを聴くことのできる贅沢な空間は、シニア層の人気も高いようです。この夜も、前売り券は完売、藤村さんのファン層は幅広いのか若い女性客もかなり目立っていました。

全席自由席というので、開場前から長蛇の列ができていましたが、わずか315席しかない室内楽を中心とするクラシック専門のホールはどこからでもステージがよく見える設計です。
演奏プログラムは、ベートーヴェンの「チェロソナタ第二番」から始まり、ドビュッシーの「チェロソナタ」と続きました

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(08.05原村リングリンク・ホールでの演奏会)
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(リハーサル風景)


サロンコンサート形式の原村リングリンク・ホールでは、毎回、藤村さん自身による曲目の解説などのMCが楽しいのですが、会場入り口で配布されたプログラムにも藤村さんらしい文章が並んでしました。

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冒頭に、“今日の最大の見所、聴き所は何かと、この原稿を書いている1ヶ月前の過去から推察するに「猛者アヴォ・クユムジャンに藤村俊介、最後まで振り落とされずにしがみつき通せるか?」でしょう。”とありました。

どうやらアヴォさんは、リサイタルのチラシ写真にある風貌や経歴から私が想像していたイメージに近いピアニストのようです。

さらに“通常、リサイタルの演出というものには、僕が目立つように静かめのピアニストにお願いするか、普段から慣れ親しんだピアニストと息の合ったところをお聴きいただく等いろいろあると思うのですが、今日、僕の選んだ道は、自分を絶対絶命な立場において能力の限りを導き出すというものでした。”

チェロの定番の名曲として誰にでも知られている、サンサーンスの「白鳥」や、バッハの「G線上のアリア」などが穏やかな曲調なので、藤村さんのこの言葉は意外に思われるかもしれません。
昨年までチェロのソロ・リサイタル経験が殆どなかったけれど、今年の5月に原村で「ラフマニノフ・チェロソナタ」を聴いた私には演奏前からわくわくするようなお言葉でした。

ベートーヴェンもドビュッシーも、エキサイトな躍動感あふれるアヴォさんのピアノとの共演が素晴らしかったのですが、やはり圧巻だったのは休憩後に演奏された「ラフマニノフ・チェロソナタ」でした。
大ピアニストにして大作曲家だったラフマニノフですから、チェロソナタといってもピアノパートは、脇役ではありません。時には華やかな主役に躍り出る場面が多く、技巧も要求され、演奏時間が40分にも及ぶ難曲。
”ロシアン・ロマンチックの極地“というチェロパートは、藤村さんがプログラムに書いた“まさに荒れ狂う裸馬にしがみつくがごとく必死にチェロを弾く”というイメージ通りに、途中で弓の糸が切れるほどアグレッシブな演奏でした。

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(素顔の藤村さん)

演奏後、鳴りやまない拍手に笑顔で応えた藤村さんは、ふだんの”癒し系“ともいえる表情に戻っていましたが、最後まで猛者アヴォさんに果敢に立ち向かった(?)藤村さんはとても素敵でした。

サッカー大好きで、浦和レッズのサポである私は、ここ数ヶ月、”チャレンジ精神やアグレッシブさが感じられない“、”持てる力を出し切ったように見えないプレー“を毎回のように見せつけられてストレスが相当たまっていたのですが、藤村さんの”全力を傾けた演奏“のおかげで久しぶりに気分の高揚を感じることができました。

藤村さんのチェロ演奏CDは、ソロで2枚、フォアシュピーラーを務めるN響のチェリスト4人で結成されたチェロ四重奏「ラ・クァルティーナ」としてこれまでに8枚リリースされています。

カサド:無伴奏チェロ組曲

カサド:無伴奏チェロ組曲

  • アーティスト: 藤村俊介,バッハ,カサド,カザルス
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2007/04/24
  • メディア: CD
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(「カサド:無伴奏チェロ組曲」CDには、スペインの巨匠・カザルスの故郷カタルーニャ民謡「鳥の歌」も収録されている)

バラ色の光り輝く雲が、ゆっくりと流れ

バラ色の光り輝く雲が、ゆっくりと流れ

  • アーティスト: 藤村俊介,ファリャ,クラフト,ニャタリ,ヴィラ=ロボス,バッハ,グノー,ストルムズ(イヴ)
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2006/04/24
  • メディア: CD

15シーンズ 〜4本のチェロのための作品集8〜

15シーンズ 〜4本のチェロのための作品集8〜

  • アーティスト: 坂本龍一,メイヤー,ロータ,ウィリアムズ,ロジャース,カラス,藤森亮一,藤村俊介,銅銀久弥,桑田歩
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2008/10/24
  • メディア: CD
(「ラ・クァルティーナ」の最新CDは、「第三の男」など巨匠たちの映画音楽集)


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