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森ミドリさんの「天来の妙音、チェレスタと声明 そして合唱」を聴いた夜 [ミュージック・ライフ]

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上野の旧東京音楽学校奏楽堂で開かれた、森ミドリさんのコンサートに行って来ました。

チェレスタ奏者で作曲家のミドリさんとは、原村のリングリンク・ホールに演奏に来て下さるご縁で、コンサートにも伺うようになりました。

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原村リングリンク・ホールでの森ミドリさん

リングリンク・ホールでの演奏会は、ミドリさんの楽しいおしゃべりがたっぷり、時には会場のお客様と会話しながらリクエスト曲の即興演奏というカジュアルな雰囲気で進行します。

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旧東京音楽学校奏楽堂は、山田耕筰や滝廉太郎の曲も演奏されたホール

今回、第一部は、真言法響会のお坊さんによる「声明」とのコラボ演奏、第二部は、ミドリさん作曲の混声合唱のための組曲「津和野」という珍しい構成の演奏会は早々とチケットが完売になっていました。

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天来の妙音、チェレスタ

祈り・静寂をイメージしたチェレスタ演奏から始まった演奏会は、目にも鮮やかな緑色の法衣に身を包んだ3人の僧侶が「声明」を歌いながら客席横の扉から登場すると、会場内はお寺の本堂のようなスピリチュアルな雰囲気が漂う場になりました。

インドから中国を渡り、日本に伝来したと言われる「声明」は、真言や経文などに節をつけ、唱える、仏教儀式の音楽です。これまでに、真言宗のお坊さんが導師となる通夜・葬儀、法事などで耳にする機会はありましたが、ステージでの演奏会は初体験です。
『天来の妙音』といわれるチェレスタのやわらかな音色は「声明」との相性も良さそうで、お坊さんたちも気分良く歌い上げてくださったようです。

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(「般若心経」)

仕上げは、プログラムと一緒に挟み込まれていたパンフレットをみながら、客席も一緒に唱えた般若心経」。日頃ご無沙汰しているご先祖様にお供えする気持ちで私も唱和しました。

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短い休憩時間にステージは模様替えし、第二部は、大人数の混声合唱団「東北大学男声OB合唱団・Chor青葉」がステージに登場。幅広い年齢層の団員の中には、白髪姿の方もおみかけします。

画家・安野光雅さんの詩に出会って感動したミドリさんが曲をつけことがきっかけとなってうまれた「津和野」という混声合唱のための組曲を私が聴くのは、今回が2度目ですが、このステージでは、作曲者のミドリさんは、主にピアノ伴奏者としての出演です。

数年前ミドリさんは、演奏会の前に立ち寄った島根県津和野の「安野光雅美術館」で、故郷津和野の情景を読み込んだ安野光雅さんの詩に出会いました。その詩に深く感動し、どうしてもこの詩に曲をつけて演奏したいという衝動に駆られたミドリさんは、その場で急いで詩を書き写すと、その夜別の場所で開かれた演奏会で即興演奏をしたそうです。
この詩に続きを書き足して完成した「津和野の風」をはじめとして、安野光雅さんの詩とミドリさんの曲によってできあがった歌が、「雲の歌 風の曲」という本の誕生につながりました
そしてさらに、そのメロディーを合唱組曲にというリクエストから、組曲「津和野」誕生したのです。

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昨年7月トッパンホールでのコンサート、“チェレスタと歌による 安野光雅・森ミドリの世界”「雲の歌 風の曲コンサート」では、安野光雅さんご自身がステージでお話をなさる予定でしたが、体調不良で欠席されたのがとても残念でした。
今回の演奏会には、安野光雅さんも82歳にはみえない若々しいジーパン姿で客席に元気なお姿を見せてくださいました。

当日演奏された中でも、「津和野の風」という歌を聴いていると、まだ見ぬ津和野の町の昔の情景が目に浮かぶような気がします。
また、「忘れ旅」という歌は、先日原村のコンサートでは、客席も一緒に歌ったのですが、“シュツシュツポツポ”という蒸気機関車の擬音のリフレインがあり、思わず口ずさみたくなる楽しい曲です。
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混声合唱のための組曲「津和野」は、楽譜も出版された

これまで合唱という音楽ジャンルにはあまり興味がなかった私ですが、この「津和野」は楽譜が出版されたこともあり、いつまでも歌い継がれる合唱曲になるような気がします。

そういえば、私は若い頃から「萩・津和野」に憧れていたのになぜか今まで一度も訪れたことがないのです。この詩に描かれた様な情景はもう見ることができないかもしれないけれど、都会育ちだからこそ“日本人の心の故郷”として津和野を見ておきたいと思ったことでした。


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