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原村の小さなホール裏方日記:藤村俊介さんの「ラフマニノフ・チェロソナタ」 [原村の小さなホール]

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八ヶ岳山麓の信州・原村ペンションビレッジに、フリーアナウンサー小林節子さんが主宰する小さなホールがあります。
リングリンク・ホールと名付けられたこのホールで開かれる音楽イベント、スタッフの大半はボランティアで駆けつける学生時代の仲間たちです。
私もリタイア生活に入った昨年から、スタッフ見習いとして東京からお手伝いに行くようになりました。

ホールのランドマークのようなずみの木(小梨)が満開の、5月24日(土)、リングリンク・ホールにとって今年初めての音楽イベントは、NHK交響楽団フォア・シュピーラーを務める藤村俊介さんのチェロ演奏会です。
藤村さんは、緑豊かな高原の小さなホールの音響を気に入ってくださったとかで、毎年ご家族とともに神奈川県から演奏会のために駆けつけてくださいます。

チェロ奏者としての実力はもちろんですが、藤村さんの「ファンサイト」があることでもわかるように、毎回東京から追っかけの熱心なファンが駆けつけるこの演奏会は、リングリンク・ホールの目玉イベントの一つになっています。
前日から原村入りした私は、節子さんのご近所仲間の直子さんと一緒にスタッフとお客様のための食事作りを担当。事前にメールで打ち合わせたテーマは「タイ料理の夕べ」です。

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前夜祭で作ったタイ式カレー(イエロー&レッドの二品)がなかなか好評だったので、藤村さんの演奏会の『打ち上げ』メニューにもタイ式カレーを二品作ることにしました

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スタッフの昼食とお客様用に作った、空豆をトッピングした「季節のちらし寿司」も大変好評でしたが、
ちょっとした工夫で、味も見栄えもぐっと良くなることを直子さんから教わりました。
料理上手の人と一緒に作業をするとお馴染みメニューでも“目から鱗”体験がありますね。

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(まろやかな辛さのイエローカレー)
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(スパイシーな辛さのグリーンカレー)

東京から持参したカレーペーストと、ココナツミルクに地元の食材を使って煮込んだカレーは、前夜食べた人にも飽きが来ないよう、具材や作り方をアレンジ。私はタイに旅行したことはないけれど、タイ料理などエスニック料理は好きなので、南国のスパイシーな湯気の香りに包まれているのは幸せなひとときです。
直子さんは『打ち上げ』用にチキン料理と豆腐のトマトサラダを作ってくれましたが、地元の新鮮な食材を生かしたメニューは、どれも簡単そうでいて、ひと味ひねったご自慢のパーティ料理です。

立ちっぱなし作業で奮闘した料理の準備もめどが立ち、藤村さんとピアノの小山さんお二人の熱のこもったリハーサルを私も特等席で堪能することができました。音響やライティング担当の男性スタッフは、本番前の最後のチェックです。チェロの柔らかいけれど力強い響きが直接体に伝わってくる距離で、名手の演奏をきける機会などなかなかありません。直前リハーサルに立ち会えるのが、なんと言ってもスタッフの醍醐味でしょう。
このホールのピアノはアップライト・ピアノなので、ふだんの演奏会ではグランドピアノが当たり前のピアニストにとってリハーサルは真剣な音あわせの場。

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特に今回のラフマニノフはピアノが伴奏と言うよりは、時には華やかな主役に躍り出る場面が多く、技巧が要求される曲なので、ピアノを演奏してくださった小山香織さんのご負担はかなりのものだったことでしょう。それにしても藤村さんと小山さんとは今回が3回目で、かつ久方ぶりの共演とは思えない見事な演奏でした。
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カサド:無伴奏チェロ組曲

カサド:無伴奏チェロ組曲

  • アーティスト: 藤村俊介,バッハ,カサド,カザルス
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2007/04/24
  • メディア: CD
バラ色の光り輝く雲が、ゆっくりと流れ

バラ色の光り輝く雲が、ゆっくりと流れ

  • アーティスト: 藤村俊介,ファリャ,クラフト,ニャタリ,ヴィラ=ロボス,バッハ,グノー,ストルムズ(イヴ)
  • 出版社/メーカー: マイスター・ミュージック
  • 発売日: 2006/04/24
  • メディア: CD

当日は、天気予報通り午後からあいにくの雨模様となり、演奏会の告知ポスターも急遽ラップで覆われました。悪天候にもめげず定刻前から続々とお客様が駆けつけて下さり、駐車場整理担当の男性スタッフは大忙しのようでした。クルマを利用せざるを得ない立地にあるホール故、毎回駐車場を提供して下さる近隣ペンションのオーナーの皆様のご厚意で成り立つイベントなのです。
この夜は外気温が下がってかなり冷え込んだので薪ストーブに点火したものの、室温が上がりすぎてしまい一部のお客様にはご迷惑をおかけしてしまいました。

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6時半から始まった演奏会、まずは、お馴染みの小品数曲を『前菜』として演奏、藤村さん自身によるトークを間にはさみながら会場のお客様と良い雰囲気を作り上げていきます。今回の『音楽の旅』は、ドイツ→スペイン→アルゼンチン→フランスを経て目的地ロシアへ。
『メイン』の「ラフマニノフ・チェロソナタ」は、「ピアノ協奏曲第2番」と同時期に作曲されましたが、演奏時間が40分になるという大作。譜めくり担当の藤村さん奥様も緊張の表情?

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藤村さんと小山さんの素晴らしい演奏に引き込まれて、時間の経過に気づかない至福のひとときでした。ホールを埋め尽くしたお客様の熱い拍手で、本日の演奏会は無事終了。お客様たちは会場で販売した藤村さんのCDにサインして頂いたり、記念撮影に応じて頂いたり演奏会の余韻にひたりながら本降りの雨の中へお帰りになりました。できればお客様もご一緒にワインでも飲みたい気分ですが、飲酒運転に繋がるおもてなしは厳禁です。

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そして、スタッフ一同が楽しみにしている『打ち上げ』ですが、今回は小さなお子さんたちをご両親に託して二人で残って下さった藤村さんご夫妻とゆっくりお話できました。

藤村さんが「こんがり日焼け」するまで楽しんだという、対馬での1週間つり三昧の話や、子供の音楽教育、演奏会の裏話など楽しい話題で大盛り上がり。
最近は、幼稚園のPTA活動でお忙しいという奥様は、「今回は自分がピアノを弾くのでなく、譜めくりなので楽勝と思ったけれど、こんなに大変だとは思わなかった!」と演奏会が無事終わった開放感を味わっていらっしゃる様子でした。
藤村さんたちが奥様のご実家に帰られたあとも、スタッフら内輪の宴はまだまだ続きました。
ボランティア・スタッフといいつつ自分が楽しんでいる、私たちが次回集まるのはたぶん7月。
さて、次回の『打ち上げ』のメニューは?


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