「ルーヴル美術館展」まもなく開催・・・待望の初来日、フェルメールの『天文学者』 [私的美術紀行]
2月21日(土)から「ルーヴル美術館展」~日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄~が国立新美術館で開催されます。
今回のテーマは、人々の日常生活の情景を描いた「風俗画」なので、「歴史画」や「宗教画」など作品鑑賞に若干の知識が必要とされるのは苦手という方でも気軽に楽しめそうな企画です。
≪ルーヴル美術館展開催概要≫
2015.2.21(土)~6.1(月)
国立新美術館 企画展示室 1E
10:00-18:00
(金曜日、5/23(土)、 5/24(日)、 5/30(土)、 5/31(日)は20:00まで
休館日:毎週火曜日。 但し、5/5と 5/26は開館)
風俗画には身分や職業が異なるさまざまな人々のごくありふれた日常がいきいきと描かれていますが、必ずしも現実が描かれているわけではなく、道徳的・教訓的な意味が込められていることもあり、そういうメッセージを読み解くのも「風俗画」鑑賞の楽しみ方のひとつでしょう。
本展覧会のチラシや公式ホームページで紹介されている出展作品の中から、私が好きな作品などをいくつかご紹介します。
★フェルメール『天文学者』★1668年
(Photo by「世界の美術館」)
フェルメール作品で男性の単身像は本作の1年後に制作された『地理学者』(1669年:シュテーデル美術館蔵)との2点のみ。
どてらのような東洋風の上着をまとった長髪の男性は同一人物のようだ。
天文学と地理学は地図製作に欠かせない学問で、特に海運通商国のオランダでは重要視され<同じ学者が手掛けることも多かったといわれている。
ところで、この画面は望遠鏡が見当たらないのだが・・・
★マセイス『両替商とその妻』★
1514年
(Photo by展覧会チラシ)
本作はアントワルペンでも活躍し、イタリア・ルネサンスと北方ルネサンスの様式を融合した画家・マセイスの代表作。
背後の棚や机に置かれた様々な物の質感が見事に描き分けられており、画面手前の凸面鏡にはもうひとりの男と窓が映っている。
★ムリーリョ『物乞いの少年(蚤をとる少年)』★
1647-48年頃
(Photo by「世界の美術館」)
代表作『無原罪の御宿り』など聖母の画家として知られるムリーリョの若き日の作品。
17世紀スペインで大いに流行した「厨房画(ボデコン)」は、概して質素でつましい日常生活の細部を飾り気なく描いている。
観る者に少年の境遇を切なく訴えている汚れた足が印象的。
★ティツィアーノ『鏡の前の女(化粧する女)』★
1512-15年
(Photo by「世界の美術館」)
みずみずしい裸体画を多く描いたティツィアーノは「色彩の魔術師」と呼ばれ、ヴェネツィア派最高の巨匠といわれる。
本作のように男が差し出す手鏡にうっとり見入る女など、鏡をモティーフにした「化粧する女」は多くの画家が好んで描いた。
★シャルダン『猿の画家』★
1739ー40年頃
(Photo by展覧会チラシ)
パリに生まれたシャルダンは、中産階級の日常的な題材をややくすんだ精妙な中間色で詩的にまた写実的に描いた画家といわれ、同時代のロココ趣味とは一線を画している。
猿の画家はキャンバスに一体何を描いているのだろうか?
★ブーシェ『オダリスク』★1745年
(Photo by展覧会チラシ)
『ポンパドゥール夫人』の肖像画で知られるブーシェはフランス・ロココの典型的な画家。
★ヴァトー『二人の従姉妹』★
1716年頃
(Photo by展覧会チラシ)
パリに出て装飾などの仕事もしていたヴァトーは、ロココ最大の画家といわれる。
雅な風俗と宴の情景を憂愁の気分のうちに描いて時代の寵児となったが37歳の若さで病没。
★レンブラント『聖家族』または『指物師の家族』★
1640年
(Photo by展覧会チラシ)
本展では、16世紀初頭から19世紀半ばまでの約3世紀半にわたるヨーロッパ風俗画の展開を、ルーヴル美術館の珠玉の名画約80点によって紹介するとのこと。
ここでご紹介した画家の作品のほか、ルーベンス、ル・ナン兄弟、ドラクロワ、ミレーなど、ヨーロッパ各国・各時代を代表する巨匠たちの名画が一堂に会するとのこと。
美術館で素晴らしい名画を鑑賞できる日が楽しみですね。
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