2012年の東京はフェルメール展のビッグ・イヤーに・・・・美術展情報 [私的美術紀行]
絵はがき★「真珠の耳飾りの少女」★
1665-66年頃
マウリッツハイス美術館蔵
ありふれた日常生活をテーマにした風俗画でありながら、画面にあふれる穏やかな光が醸し出す静謐な世界を描いた画家フェルメールの作品が日本で初めて公開されたのは1968年。
それから1999年までに公開された作品はのべ6点(重複を除くと4点)のみでしたが、2000年の「フェルメールとその時代展」以降、2009年までの10年間にのべで18点(重複を除くと15点)と、全作品の約半数の作品が来日しているそうです。
フェルメールは近年日本をはじめとして世界中で人気が急上昇し、美術展の“キラー・コンテンツ”になっていますが、なんと2012年の東京は現在3点の作品を公開中の「フェルメールからのラブレター展」に引き続き、ほぼ同時期にふたつの美術館でフェルメール作品を目玉にした展覧会が開催されるというのですからまさにフェルメール展のビッグ・イヤーです。
◆フェルメールからのラブレター展◆
2011.12.23―2012.3.14
(Bunkamuraザ・ミュージアム)
絵はがき★「手紙を読む青衣の女」★
1662-65年頃
アムステルダム国立美術館蔵
ゴッホが手紙の中で「とても美しい身重のオランダ婦人」と書いているが女性の服装はマタニティ・ウエアではなく、当時の最先端モードだという。
そういえば、ロンドンで見たヤン・ファン・エイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」のファッションも、私はかなり最近までマタニティ・ウエアだと思っていたが違っていた。
このオランダ・モードの特徴は、コルセットが廃れハイウエストのスカートの下には成形下着をいれて膨らませていたそうだ。
絵はがき★「手紙を書く女」★
1665-66年頃
ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵
フェルメールの作品にしばしば登場するファーの縁取りが付いた黄色い衣装は、フェルメールのお気に入りのファッションらしく彼の没後作成された遺産目録に「白い毛皮の飾りが付いた黄色のサテンのマント」という記述があるとのこと。
絵はがき★「手紙を書く女と召使い」★
1670年頃
アイルランド・ナショナル・ギャラリー蔵
◆フェルメール「真珠の首飾りの少女」in ベルリン国立美術館展◆
~学べるヨーロッパ美術の400年~
2012.6.13―9.17
(国立西洋美術館)
絵はがき★「真珠の首飾りの少女」★
1962-65年
ベルリン絵画館蔵
フェルメールが描いた6ー7点の黄色い衣装の女性像の中でも際だった傑作と言われている作品。
当初は椅子の座部にリュートが置かれ、後の壁には地図が掛かっていたそうだ。
ベルリン美術館とは、ベルリン市内にある20以上の美術館の総称。
その礎はプロイセン王家の収集品をもとに19世紀前半に築かれた。
15-17世紀の西洋絵画は「絵画館」に、19世紀のドイツやフランスの名画は「旧国立美術館」で展示されているのでベルリンで見学するときは要注意。
2008年のドイツ旅行で訪ねた「ベルリン絵画館」は、複数の文化施設からなる文化フォーラム内にある。
フェルメールの2作品を目当てに訪ねた絵画館にある巨匠「クラナハ」の「若返りの泉」は必見絵画!
◆マウリッツハイス美術館展◆
(「真珠の耳飾りの少女」来日決定)
2012.6.30―9.17(東京都美術館)
2010年から改修工事でクローズしていた東京都美術館のグランドオープンを飾るのは、オランダの至宝「真珠の耳飾りの少女」をはじめ、17世紀オランダ・フランドル絵画を代表するレンブラント、フランス・ハルス、ルーベンス、ヤン・ブリューゲル(父)などの作品が来日する大型企画!
フェルメール真筆の作品総数は30数点といわれ(37点など諸説あり)ますが、日本でフェルメールの作品が見られる美術展が集中開催されるのは西洋美術ファンとして大変うれしいことです。
日本で開催された美術展にこれまで出品された作品リストは以下の通り。
私自身は、海外の美術館で鑑賞した作品を含めてこれまでに実物に会えた作品は20点ですが、今年3点が新たに加わることになります。
個人的に鑑賞するのが楽しみな作品は、青いターバンの少女”が印象的な「真珠の耳飾りの少女」ですが、2008年に訪問したベルリン絵画館から出品される「真珠の首飾りの少女」も必見です。
《これまでに来日したフェルメール作品リスト》
(来日順)
★「ディアナとニンフたち」(1655-56年頃:
マウリッツハイス王立美術館蔵)
★「窓辺で手紙を読む女」(1658-59年頃:
ドレスデン国立絵画館蔵)
★「真珠の耳飾りの少女」(1665-66年頃:
マウリッツハイス王立美術館蔵)
★「手紙を書く女」(1665-66年頃:
ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵)
★「天秤を持つ女」(1662-65年頃:
ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵)
★「地理学者」(1669年:
シュテーデル美術館蔵)
★「リュートを調弦する女」(1663-65年頃:
メトロポリタン美術館蔵)
★「聖女プラクセデス」(1655年頃:
個人蔵)
★「恋文」(1669-71年頃:
アムステルダム国立美術館蔵)
★「絵画芸術」(1666-68年頃:
ウイーン美術史美術館蔵)
★「牛乳を注ぐ女」(1658-59年頃:
アムステルダム国立美術館蔵)
★「マルタとマリアの家のキリスト」(1655年頃:
スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵)
★「小路」(1658-60年頃:
アムステルダム国立美術館蔵)
★「ワイングラスを持つ娘」(1659-60年頃:
アントン・ウルリッヒ美術館蔵)
★「ヴァージナルの前に座る若い女」(1670年頃:
個人蔵)
★「手紙を書く女と召使い」(1670年頃:
アイルランド・ナショナル・ギャラリー蔵)
★「レースを編む女」(1669-70年頃:
ルーヴル美術館蔵)
★★追加情報★★
東京都美術館の「マウリッツハイス美術展」には、フェルメールの「ディアナとニンフたち」も来日予定と朝日新聞に出ていました。
この作品は、1968年以来、1984年、2008年にも来日しているので日本人にはおなじみかもしれませんね。
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