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「世界の車窓から」に誘われて、スペインが生んだ天才画家『ピカソを巡る旅』へ [私的美術紀行]

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★幼いピカソは父に連れられてマラガ闘牛場に通った。

「画家にならなかったら闘牛士になっていた」と語ったほど闘牛好きだったピカソにとって究極ともいえるモチーフは「闘牛」。8歳時に描いた「ピカドール」が現存する最も初期の作品。
(Photo by 

世界の車窓から」という5分足らずのミニ番組は、実際に自分が見たことのある風景に出会って旅の思い出が蘇ったり、初めて見る異国の風景に旅心を刺激されたりする私のお気にいるテレビ番組です。
(現在は、「ヴェールに包まれたアラビア半島の旅」を放映中。


2009年夏にオンエアされた『南スペインの旅』で、スペインの生んだ天才画家・ピカソ生誕の地として以前から行ってみたいと思っていたスペイン最南端に近い港街マラガが紹介されました

マラガにはピカソの親族が155の作品を寄贈したことがきっかけで2003年になって「ピカソ美術館」が開館。初期から晩年まで、さまざまに変容を遂げたピカソ作品を一通りたどることができるとのこと。
1881年生まれのパブロ・ピカソは10歳でマラガを離れた後も何度かマラガを訪れたそうですが、のちにフランスで活躍するようになったピカソはスペインのフランコ政権との対立からマラガに帰郷することはなかったといいます。

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★「母と子」(1922年、マラガ・ピカソ美術館):

最初の妻オルガと息子のパウロ。39歳で初めて父になった喜びが感じられる作品。
(Photo by

パリやバルセロナ、南仏にピカソの傑作を有する美術館が既にある中で、あえて21世紀に入って新たに作られた「マラガ・ピカソ美術館」誕生を促したのは “ピカソの生まれた地に、ピカソの美術館があってほしい”という家族の強い思い。

“マラガの美術館に行ったら、最初に感じるべきはコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の「光」”とガイドブックに書いてありましたが、幼いピカソが目にしたマラガのまばゆい陽光が美術館のパティオに降り注ぐのを私も全身で感じたいと思います。


9月に予定しているスペイン旅行では、マドリードではプラド美術館と、ピカソの「ゲルニカ」が展示されている国立ソフィア王妃芸術センター、バルセロナとマラガの2カ所でのピカソ美術館見学がツアーコースに組み込まれています。
プラド美術館では、先日ご紹介したような聖書を主題にした名画などを鑑賞予定ですが、そのあとはアンダルシア地方のイスラムの遺構と『ピカソを巡る旅』。
バルセロナではガウディの建築物などを見学するので、私にとって2度目となるスペインは “アートの散歩道”を満喫する旅になりそうです

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★「肘掛け椅子に座るオルガ」1918年、パリ国立ピカソ美術館

ピカソが結婚する数ヶ月前に27歳のオルガを描いた未完の肖像画。
「私の顔がわかるように」というオルガの注文か気品に満ちた新古典主義風の作品
(Photo by「週刊世界の美術館」2008.12.4号)

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★「座るジャクリーヌ」(1954年、マラガ・ピカソ美術館):

ピカソは80歳にして2度目の妻ジャクリーヌと再婚した。
ピカソは常に新しい女神を求め、その女神を描き続けたが、オルガが64歳で死去するまで離婚に応じなかったため正式な結婚は2回のみ。
(Photo by「Pen」2008.10.15号)

特にピカソは、私が若い頃まだ現役で活躍していたという数少ない画家。さまざまな画風の中には自分的には好みでない作品もありますが、以前パリの国立ピカソ美術館で見た最初の妻オルガの肖像画と、マラガで鑑賞予定のジャクリーヌ(2度目の妻)を描いた作品は、本当に同じ画家の絵?と思うほど雰囲気が異なります。ピカソの作品鑑賞は彼の人生のエピソード抜きには楽しめないのではないでしょうか。

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★ピカソ10代の傑作「科学と慈愛」(1897年、バルセロナ・ピカソ美術館):
(Photo by「Pen」2008.10.15号)


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★「」(1955年?バルセロナ・ピカソ美術館):

カンヌの自宅の最上階に自らが作った鳩小屋を描いた作品は、生涯のライバル・マティスの色遣いに似ている?
絵画教師だったピカソの父は、13歳の少年が描いたハトの絵を見て以後絵筆を握らなかったといわれている
(Photo by「Pen」2008.10.15号)


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★「浜辺を走る二人の女」(1922年、パリ国立ピカソ美術館):

マラガの「母と子」と同時期の作品 ですが、堂々たる体格の女性たちの踊るような躍動感が素晴らしいですね。
(Photo by「週刊世界の美術館」2000.8.1号)

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(Photo by「週刊世界の美術館」2008.12.4号)


ピカソは、53歳の時、生涯最後のスペイン旅行でバルセロナやマドリードを巡りましたが、74歳でカンヌ移住後は南仏暮らしが定着し、1973年91歳で亡くなりました。
ピカソが眠るのは、南仏エクス=アン=プロヴァンス近郊のヴォーヴナルグ城の前庭。ピカソが1958年に購入した終の棲家は、敬愛したセザンヌの“精神的支柱”のような存在だった
サント=ヴィクトワール山』が南に聳える場所にある。



「世界の車窓から」DVDブックの新シリーズが刊行されました。
本日発売のNo.31”南部アンダルシア地方の旅”は、私が何度も見直した映像が収録されている永久保存版。

 世界の車窓からDVDブック NO.31 (朝日ビジュアルシリーズ)

  •  作者:
  •  出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  •  発売日: 2010/08/05
  •  メディア: 大型本


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