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マイブーム スペイン、次は”アートの散歩道”を旅したい [私的美術紀行]

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W杯で優勝したスペイン代表の優勝パレードは、マドリードの中心地に集まった100万人から熱烈な歓迎を受けたそうですが、私もそろそろJリーグの再開に気持ちを切り替えなければいけません。スペインサッカーにインスパイアされて、我らが浦和レッズも “堅守をベースにした攻撃的パスサッカー”を実現させて欲しいのですが、集中力の持続に問題があるのかもしれません。

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コルドバの花の小径)

さて、私がはじめて訪れたヨーロッパで古い教会建築と美術館巡りに開眼するきっかけを与えてくれたスペインをもう一度訪問することにしました。
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月中旬の旅は、マドリード→トレド→コンスエグラ→コルドバ→グラナダ→マラガ→コスタ・デル・ソル→バルセロナを79日で周遊しながらプラド美術館とピカソゆかりの3つの美術館を見学予定。

今回もパッケージツアー利用なので旅の手配はおまかせですが、充実した美術館訪問になるように手元の資料などで少しずつ予習しているところです。

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ベラスケスラス・メニーナス1656年:
Photo by「週刊世界の美術館」08.9.4号)

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ゴヤカルロス4世とその家族1800年:
Photo by「迷宮美術館」

8,000
点の所蔵品を誇るプラド美術館は、2002年と2006年にも東京で美術展が開催されていますが、やはり現地に出向かないと見ることのできない作品もたくさんあります。1998年のスペイン旅行では、ベラスケスやゴヤなどのスペイン絵画を中心にガイドされた記憶がありますが、団体行動後の短い自由時間は館内のショップで図録を買って、いくつかの部屋をまわっただけで終わってしまいました。

今回のガイドさんが案内する作品リストが前もって知らされるわけではないので自由行動で鑑賞したい作品の絞り込みは簡単ではありませんが、有地京子先生の名画解説講座を昨年来受講したおかげで興味が深まった聖書の物語”を主題にした絵画がプラド美術館にもたくさんあります
その中でこれは見落とせない!と思っている作品をいくつかご紹介します。

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ボッス三連祭壇画「乾し草の車1495/1500年ごろ:
Photo by 「週刊世界の美術館」
2008.9.4

向かって左は楽園を追放されるアダムとイブ、右は地獄。中央の乾し草を奪い合う人々など欲望に支配された人間の目には神の姿が見えない

 
“神に背を向ける現世への辛辣な諷刺画”を描いたフランドル派のヒエロニムス・ボッスは、フェリペ2世お気に入りの画家で、最高傑作「快楽の園」など10点近くがプラド美術館にあります。
現存するボッスの真作は
30点に満たないそうですが、1998年の訪問時にボッスの作品を見たかどうかまったく記憶がないのです。独特の色遣いや現代的ともいえる構図が印象的なボッスの作品は今度こそ絶対に見逃すわけにはいきません。

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フラ・アンジェリコ受胎告知1430年頃:
Photo by 「週刊世界の美術館」
2009.8.6

フラ・アンジェリコが20代半ばに描いたという初期の作品。画面の左には“アダムとイブの楽園追放”、裾絵には聖母マリアの生涯の中から5つのエピソードが描かれた壮麗な祭壇画。

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★(参考)フラ・アンジェリコ「受胎告知」サンマルコ美術館壁画1440年代前半:
Photo by 「週刊世界の美術館」
2008.12.11号

フラ・アンジェリコが40代前半に描いたという作品は、プラド美術館の所蔵品と同じ主題ですがシンプルな構図で、聖母マリアの純潔を示す百合や聖霊を象徴するハトなどのアトリビュートはあえて省略。
1999年のイタリア旅行で実物を鑑賞していますが、私にとって「受胎告知」といえばこの作品が真っ先に思い浮かびます。
卓越した技術と敬虔な信仰心が融合した静謐なフレスコ画は、人々への布教目的ではなく、修道士の礼拝目的の絵画でした。

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ムリーリョ善き羊飼い1660年頃:
Photo by 「週刊世界の美術館」
2008.9.4

セビージャ出身のムリーリョが同主題で数多く描いた「無原罪の御宿り」の愛らしい聖母マリアも好みですが、幼子イエスがあどけない表情の羊飼いとして描かれている本作品を見ると心がなごみます。

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マセイスこの人を見よ1515年ごろ:
Photo by「西洋絵画の主題物語・聖書編」

キリストに何の罪も見いだせなかったローマ総督ピラトが、群衆の前に姿を現し、「私が今ここに引き出す男は、私には何の罪も認められないのだということをわかってもらいたい」と語り、「この人を見よ」と茨の冠のキリストを登場させた場面。

マセイスは、悲しみをたたえて静かに立つキリストという見せ物を前にした群衆たちの異様な興奮状態を生き生きと描いています。
低い位置からキリストを見上げる私たちはあたかも群衆の中にいるような構図になっています

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ウエイデン十字架降下1435年頃:
Photo by「西洋絵画の主題物語・聖書編」

有地京子先生のイチオシ作品!
画面から飛び出して見えるような彫像的立体感に注目です。

フェリペ2世が叔母のハンガリー王妃マリアから相続したこの作品は、三連祭壇画のうち唯一現存する中央部分の絵。聖母の頬を静かに伝う涙、弟子の泣きはらした目から深い悲しみが伝わる宗教画です。

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コレッジオ我に触れるな1534年頃:
Photo by 「週刊世界の美術館」
2009.8.6

キリストの墓のある園で一人佇み泣いていたマグダラのマリアがふと振り向くと男がいた。庭番だと思った男がキリストと悟ったマリアが駆け寄ろうとすると「私に触ってはいけない。私はまだ父のところに上がってはいないのだから」と言った場面。
レオナルド・ダ・ヴィンチに学んだ柔らかなぼかしを用いたキリストとマリアの優美なポーズの作品は、ブロンツィーノなどが描いた同主題の作品よりも私の好みです。


※各作品の制作年代については諸説ありますが、ここでは、1998年に発行されたプラド美術館の公式図録に記載されたものを採用しています。

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