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オルセー美術館展でモネ、セザンヌ、ゴッホの名作を鑑賞・・・作品の世界を旅した思い出 [私的美術紀行]

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オルセー美術館展2010」出品の名画
by 展覧会クリアファイルより

5月のボストン美術館展に引き続き国立新美術館の「オルセー美術館展2010―ポスト印象派展」を鑑賞してきました

日本では1996年以降、大規模な「オルセー美術館展」が3度開催されているし、私も娘もパリのオルセーも見学してお馴染みの作品が多いのですが、今回は過去最大規模の115点が来日。そのうち60点が初来日、モネ5点、セザンヌ8点、ゴッホ7点、ゴーギャン9という組み合わせの貸し出しは最初にして最後というふれこみです。

ポスト印象派の画家たちが活躍した1880年代半ばから20世紀初めまでの近代絵画が最も輝いた時代の熱気が伝わるような作品が展示されています。
今回も“この作品を見ているはずだが記憶がない”作品との出会いが結構ありましたが、お馴染みの作品でも自分が実際に作品ゆかりの場所を訪ねた後で再び鑑賞すると作品や画家との距離が近づいたような気分になります

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★モネ「睡蓮の池、緑の調和」★
:1899年 
by 絵はがき

印象主義の代表者モネ1899年頃から睡蓮の池をテーマにした作品を描いています。

初めは池に架けられた日本風の緑の太鼓橋や柳の木などをモチーフに描いていましたが、20世紀にはいると周辺の景色は減少。(パリ・オランジュリー美術館を飾る最晩年の睡蓮は、朝から夕刻へ、光と色を変化させる水面が映す世界が巨大な画面一杯に広がっています。)

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7月初めのジヴェルニー

ジヴェルニーのモネの家と庭園は、春から秋にかけて公開されており、初夏には睡蓮の花が咲きます。私が訪れた季節、睡蓮の花は殆ど終わっていましたが、モネが造園した池の周りの緑は絵画の世界そのままでした。

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モネの家

家の鎧戸や階段、ベンチも太鼓橋と同じ鮮やかな緑色。睡蓮の池をゆっくり散策し、モネの浮世絵コレクションが飾られた旧宅の室内を見学しました。寝室や食堂もそのまま保存されていてモネの私生活を垣間見ることができます。

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( セザンヌサント=ヴィクトワール山」★
:(1890年頃)
by 絵はがき

南フランスのエクス=アン=プロヴァンスに生まれ育ったセザンヌは、エクスの北東に堂々と聳えるサント=ヴィクトワール山をテーマにした作品をいくつも描いています。パリという都会の空気になじめなかったセザンヌにとって、ゴツゴツした岩肌を見せた無骨な山の、素朴で堅固で力強い姿はセザンヌの精神的支柱だったのではないかといわれています。

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(故郷南仏を拠点にしたセザンヌのアトリエ近くから臨むサント=ヴィクトワール山
写真撮影の未熟さから山はほんの少ししかはいりませんでした)

静物画を得意としたセザンヌの作品に以前はあまり興味がなかったのですが、南仏旅行の折にセザンヌのアトリエを見学しました。画家の生前と同じように保存されたアトリエには、静物画を描くための果物が置かれ、部屋の隅には背の高いセザンヌが愛用していたベージュのコートが掛けられていました。

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セザンヌ「水浴の男たち」★
:(
1890
年頃)by 絵はがき)

水浴する人物のモチーフはセザンヌが繰り返し描いていますが、この作品は、セザンヌがいかに構築的な画面構成を重視したかをうかがわせる1点といわれています。

★モデルとして辛抱強く同じポーズをとることが取り柄だった(?)セザンヌ夫人、オルタンスの肖像画も出展されています。

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ゴッホ
馬車、アルル郊外のロマのキャンプ」★
:(
1888
年) by絵はがき)

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アルルの跳ね橋

アルルにユートピアを夢見たゴッホの
有名な作品「アルルの跳ね橋」に描かれたラングロワ橋は現存しませんが、近くに似たような橋が復元され、観光名所になっています。

夏の季節、橋の近くの草むらにはこの作品のようにキャンピングカーがいくつもとまっていました。
ガイドさんの話では、ドイツ人が多いというオートキャンパーたちは自国から食糧などを積み込んでくるので、地元の人々からはあまり歓迎されていないのだとか。

ゴッホの絵画は南仏アルルの光によって「生命の黄色」が生まれたといわれますが、ロマの馬車を描いたこの作品の色遣いはもう少し穏やかです。

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( ゴッホ星降る夜」★
:(
1888年)by絵はがき)

ローヌ河畔の夜景を描いた作品ですが、実際には北の方角に見えるはずの北斗七星が輝いていることから必ずしも実景に忠実な描写ではなくいくつかの実景を組み合わせたものといわれています。

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「円形闘技場」からみたアルルの街
奥の方にローヌ川が見える)

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( 
ゴッホアルルのゴッホの寝室」★
(1889
) by 絵はがき)

ゴッホは今回出品された作品と同じテーマで3枚描いていますが、これはサンレミで制作された3作目。

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(今秋のゴッホ展チラシ)


今秋同じ国立新美術館で開催される「ゴッホ展」では
1888年に描かれた作品が出品され、アルルで借りた「黄色い家」の寝室を会場内に再現する予定なので見比べてみるのも面白いかもしれません
(サンレミで制作されたもう一つのレプリカはシカゴ美術館にあります)

<ココに注目!>
オルセーの作品では壁の肖像画は自画像と女性の肖像画ですが、ゴーギャンがアルルに到着する直前に描いた
1作目では、詩人ウジェーヌ・ボシュと友人の兵士でした。

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クレラー=ミュラー美術館蔵の
★ゴッホ夜のカフェ・テラス」★
:(1888年)
by 週刊「世界の美術館」2009.2.5号)

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アルルでは、ゴッホの絵をを再現した『カフェ・ファン・ゴッホ』にも行ってみました。アルルの中心であるフォーロム広場にあり夜の観光名所として賑わっていますが、夏のアルルの空が真っ暗になるのは
9時過ぎなので夕食後にお出かけください。


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講座の日時など詳細はこちらをクリックしてください。


※国立新美術館開催日程
◆「オルセー美術館展2010」:2010816日(月)まで開催中
◆没後120年「ゴッホ展」:2010101日(金)~1220日(月)



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