SSブログ

原村の小さなホール裏方日記・・・チェレスタ演奏と64本のキャンドル [原村の小さなホール]

修正DSC07614のコピー.JPG
DSC07577のコピー.JPG

小林節子さんが主宰するリングリンク・ホール恒例の年末イベントを手伝うため、3ヶ月ぶりに信州・原村へ行きました。
元来寒がりの私は、 “雪も積もらないほど冷える”という冬の原村をこれまでずっと避けていたのですが、今年は『64本のキャンドルとチェレスタの音色で祝う平和』と題し、森ミドリさんのチェレスタ演奏があるというので行かないわけにいきません。

DSC07675のコピー.JPG

天気情報では週末大寒波が襲来するというので、しっかりと防寒対策をして出かけた原村、空気は凛とした冷たいものでしたが、拍子抜けするほどの好天気で前夜の雪もうっすらと残っているだけでした。
リングリンク・ホールに到着すると早速午後4時開始のイベント準備が始まりました。

私の担当はイベント終了後恒例となっている『打ち上げ』の料理作りですが、参加者の人数規模もメンバー構成もよくわからないので、調理が簡単で融通のきく鍋料理を2品用意することにしました。

3
時過ぎには、ご近所の方々が自慢の一品料理を携えて到着。人の出入りが慌ただしくなってきました。

イベントが終了したらすぐに鍋を仕上げられるように準備を整えた私もお客様と一緒に演奏を聴くためホールに急ぎました。

DSC07574のコピー.JPG

今回はイベント告知期間が短く予約の出足が鈍かったので心配していたのですがお天気に恵まれたこともあり、ホールの客席は思いの外大勢のお客様で埋まっていました

オープニングの1曲は、先日90歳で亡くなったハリウッド女優ジェニファー・ジョーンズを偲んで、映画「慕情」の主題曲「Love is a many splendored thing」。続いて、「ペチカ」など冬をテーマにした童謡のメドレーが演奏されます。


修正DSC07566のコピー.JPG

どんな曲が演奏されるかいつも楽しみなのですが、ミドリさんが演奏の合間に客席と交わされるトークも楽しいのです。
この日の客席はチェレスタが初めてという方も多かったので、まずはチェレスタという楽器についての説明、そしてこの日の演奏に使われた愛器の来歴にまつわるお話を・・・

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、映画「ハリーポッターと賢者の石」(ヘドウィグのテーマ)など、一般的にチェレスタの音色が使われる曲が紹介されます。

そして、野球好きには懐かしい甲子園大会のテーマ曲「栄冠は君に輝く」(古関裕而作曲)こそ、このチェレスタがミドリさんの手元に来る前、年に一度の活躍舞台でした。(実は元の所有者は、NHK大阪放送局)

DSC07573のコピー.JPG

小さなホールならではのリクエストタイムでは、「Ave Maria」や「My Way」、「虹の彼方へ」などが演奏され、時折、暖炉の薪がはぜる音が聞こえる中でお客様とミドリさんの距離感が近くなっていきます。

この日のリクエストカードには、ミドリさんの幼なじみの男性と同一の名前がありました。原村移住により節子さんと知り合い、森ミドリさんの演奏会に来られた方がなんとそのご本人で、ウン十年ぶりのご対面というサプライズ企画になったのでした。

DSC07601のコピー.JPG
(★2階席で、”縄文の歌姫”美咲ちゃんを発見。
八ヶ岳農場音楽祭』では、新曲「御柱」を披露)

私がこのホールで森ミドリさんのチェレスタを聴くのは3回目ですが、チェレスタの音色はこのホールとの相性が殊の外よいらしく、音が昇ってくる2階席で “天来の妙音”の心地よいシャワーを浴びるのはまさに至福のひとときでした。

DSC07585のコピー.JPG

今回のスペシャルプログラムは、向田邦子さんのエッセイ「白鳥」の朗読とサンサーンスの「白鳥」の“ひとりコラボ演奏(?)”でした。
白鳥が優雅に泳ぐ様子のイメージが強い名曲ですが、このエッセイで描写された白鳥の生態などを思い浮かべながら演奏を聴くと、思い出し笑いをしてしまいそう・・・

午後5時を過ぎ外がすっかり暗くなった頃、会場の奥にセットされた64本のキャンドルに灯をともすイベントが始まりました。

DSC07593のコピー.JPG
(★キャンドルイベントは、満州からの引き上げ体験者、平出昭恵さんの発案)
修正DSC07598のコピー.JPG

この1あった様々な出来事を思い出し、来るべき新年が平和な良い年になるように祈念し、会場のお客様にキャンドル点火をして頂きました。

昨年7月、チェレスタ演奏をするミドリさんに同行してリングリンク・ホールを訪れた草柳文恵さんは、その2ヶ月後自ら命を絶ってしまいました。心身の不調に悩む年下の友人を失うという、ミドリさんにとって大変辛い出来事の報告もありました。

DSC04015のコピー.JPG
★草柳文恵さんは、チェレスタ演奏会後の打ち上げでカメラを向けると、とても素敵な笑顔を見せてくれたのに・・・)

DSC07609のコピー.JPG


“ここに居るはずの人の不在”や“一緒に演奏を聴いて欲しかった人”への想いなどをそれぞれの胸に、暗くした会場に浮かび上がる赤いキャンドルの炎を見つめます。

DSC07547のコピー.JPG
★昨年このイベントに参加した直後の1月に急逝してしまった原村仲間のMM君の遺した薪小屋
この日の午後、MT君が記念のプレートを取り付けて、ささやかに献杯の儀式を・・・)

修正DSC07622のコピー.JPG

キャンドルがすべて点火した会場で、ドビュシーの「月の光に」が演奏され、お客様と一緒にクリスマスの歌などを歌って散会となりました。

DSC07625のコピー.JPG
(★東京のOLに”美肌鍋”として人気上昇中の「トマト鍋」。
原村仲間やおじさまたちの知名度はまだまだ)
DSC07627のコピー.JPG
(★ミドリさんの手料理「牡蠣の炒め物」、大変おいしく戴きました。
東北各地の鍋をアレンジした「オリジナルせんべい汁」は、
コンロで熱々にした比内地鶏スープのおかげでおじさまたちにも喜んでいただけました。)

イベント終了後、関係者と親しい方々をお招きしてのパーティには、皆さんの心づくしの料理と一緒に、演奏後の森ミドリさんが、持参したぷりぷりの大粒牡蠣を手際よく調理された一品も並びました。

修正DSC07631のコピー.JPG
DSC07632のコピー.JPG
(★子供たちと一緒のイベントを終えて駆けつけた美咲ちゃん。
サンタ姿でパーティを盛り上げてくれました)

『鹿肉の煮込み』や『カボチャの寒天寄せ』などの郷土料理、『鶏肉とゆで卵の親子煮』、お汁粉、ドイツのクリスマス菓子・シトーレン、自家製(?)干し柿などもあり、心も体もあたたまるパーティ料理を戴きながら初めてお会いする方や地元との方々との交流もできました。

修正DSC07648のコピー.JPG

お客様がお帰りになった後は、ごく内輪だけの二次会。ワイングラスを傾けながら、他愛もないおしゃべりやら音楽談義。

すると、ミドリさんが再びチェレスタ演奏をしてくれました。ホールに居るわずか数人だけが素晴らしい音色に包まれる贅沢な空間・・

DSC07662のコピー.JPG
(★“歌うことがとにかく楽しい”という二十歳の美咲ちゃん)

シンガーソングライターの美咲ちゃんは、ギターの弾き語りを聴かせてくれました。
細い体からほとばしる独特の歌声は奄美大島の民謡歌手の歌い方にも通じるものがあるような気がします。
7年に1度の「御柱祭」に向けて特訓中の「木遣り」も披露してくれましたが、”御柱イヤー”の来年はいっそうの飛躍が期待される注目のアーティストです。


DSC07645のコピー.JPG

夜が更けても、楽しい宴はまだまだ続きますが、私はお宿をお願いしたペンションに戻らなければなりません。後ろ髪を引かれる思いで、一足先に帰りましたが、「音楽の楽しさ」を堪能した一夜でした。





nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。