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近頃気になる人物・・・今なぜ、『白洲次郎』が注目されるのか? [生き方]

白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男

  • 作者: 北 康利
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/07/22
  • メディア: 単行本
NHKドラマスペシャル「白洲次郎」の最終回がオンエアされました。

1話と2話のオンエアが春先だったこともあり、1・2話の復習をかねて3夜連続で放送されたので私は、今回まとめて鑑賞しました。
白洲次郎については、数年前までは、“名前はきいたことがあるが何者?”という人も多かったのではないでしょうか。

以前、団塊の世代やシニアのライフスタイルを探る仕事で、 憧れのシニア男性”のイメージにぴったりなキャラクター(人物)を探していた時、友人から“カッコイイ シニア男性”として教えられたのが白洲次郎でした。
しかし、
2005年当時は、白洲次郎に関する情報は少なく、とりあえず書店で、北泰利氏の「白洲次郎 占領を背負った男」を入手し、次郎の経歴はチェックしたものの本文は読まずじまい。“憧れのシニア男性像の提案”も日の目をみませんでした。

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(雑誌・サライ 2006.11.16号)

2006年秋に雑誌・サライで『白洲次郎・正子 夫婦五つの信条』という特集記事を読み、そのライフスタイルの概要だけは知りましたが、庶民感覚とかけ離れていてイマイチ理解できませんでした。

ドラマを見終わった今でも、次郎が政財界で果たした役割や功績について私にはコメントできませんが、ライフスタイル、特に夫と妻のつきあい方には興味深いものがありました

ドラマではフィクションや誇張した部分もあるでしょうが、桁外れの成金のぼんぼんとして育った次郎の少年時代から英国留学を経て実業家になるまでのストーリーで印象に残ったのは、自分できちんと考え、相手を尊重しながらも人前で自分の主張がはっきり説明できるように英国で鍛えられていたということ。

妻の正子も伯爵令嬢ながら10代でアメリカの教育を受け、その時代の日本女性には珍しく自分の主張や考えをはっきり表明する女性でした。正子が専業主婦から骨董収集家・随筆家になって、ある時期からは正子の方が注目される存在になっても、お互いに自立した関係のオトナの夫婦というライフスタイルを貫くことができたのもそんな二人だったからでしょう。

サライの特集記事による、白洲次郎・正子の『夫婦の信条』とは、

1.夫婦円満の秘訣「それは一緒にいないこと」:

お互いに忙しく、晩年までは一緒にいる時間が極端に少なかった次郎と正子ですが、終始一貫夫婦仲はよかったそうです。離ればなれの暮らしの中で、お互いの必要性を思い返す蝶番の役割を果たしたのが、次郎のヨーロッパ出張に同行した若き日の船旅の思い出とか。(日本からヨーロッパまで行く船旅が往復90日間を費やした時代に、次郎はヨーロッパへの長期の海外出張が多かったそうです)

2.互いを信頼・尊重して自立する:

正子が骨董と文学修行にのめりこみ、小林秀雄ら文人たちと飲み歩いて朝帰りするようなことがあっても次郎は咎め立てしようとはしなかったそうです。
正子自身が書いた一文の、
《真の愛情は、疑うより信ずることにあります。そして絶対の信頼は、いつも信じられた側の負けに決まっているのです》
というくだりが紹介されていますが、並の夫婦の場合はどうでしょうか。

3.女房の前でもカッコつける:

英国流の紳士のマナーを身につけていた次郎は、結婚したての頃、夕食の席につく時、妻に対して「ネクタイをしないで失礼」と言ったとか。
“仕事の悩みやグチを、妻には聞いてもらいたい”と思う男性も多いかと思いますが、次郎は泣き言やグチを言わず、女房の前でも努めて“カッコいい男”であり続けようとしたようです。時には、“英語の寝言で、悔しそうに何事か口走る”次郎を静かに見守っていた正子の愛情も素晴らしいですね。

4.自分のスタイルは自分で決める:

女に男のものがわかるわけがない」が口癖で、たった1本のネクタイでも、女房任せにはしない主義だったそうです。
日本のシニア男性には、“服装などの品選びやコーディネイトセンスに自信がないから妻任せ”という人もいます。背広姿はそれなりに着こなしていても、プライベートファッションはゴルフルックとパジャマだけというビジネスマンも・・・

5.相手の弱さを知り、努力する:

正子は、“結婚というものは為されたものでは決してなく、毎朝やり直さなければならないもの”と言ったそうですが、次郎と正子の夫婦の形も、お互いの不断の努力なしには継続しえなかったのでしょう。
”愛情を抜きにした批判は、人を教えもしなければ自分を育てもしない“とも書いてありました。
この辺は、私には特に耳の痛いところです・・・

彼らの社会的ステイタスや経済的豊かさはもちろんのこと、『夫婦の信条』を読んだだけでも、そう簡単に真似られるようなライフスタイルとは思えません。

白洲次郎が注目されるのは、理想であっても到底真似ることのできない存在だからでしょうか。

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(銀座・松屋の展示会チラシ)

2008年、宝塚がミュージカル化したことで話題になり、秋には、銀座・松屋でふたりのライフスタイルをとりあげた展示会がありましたが、残念ながら私はどちらも見ていません。

白洲次郎と正子の暮らしの拠点だった旧白州邸、『武相荘』の見学ツアーが最近大人気と聞きます。

”地方に住んでいて、中央の政治に目を光らせていて、いざという時は、中央に出て行って、彼らの姿勢を正す“という気構えをもつ英国式カントリー・ジェントルマン」が理想とした住まいとは?

古い農家を自分たちの生活様式に合わせて改装したという建物とインテリアを、ツアーでなく自分のペースでゆっくり見学したいと思っています。

※NHKドラマスペシャルは11月にBSで再放送の予定というので、白洲次郎・正子が暮らした日々に思いを馳せながら邸内をのんびり見学するのは当分無理かもしれません。


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