『皇妃エリザベート』が愛したウィーンのスイーツ巡り・・・”二都物語”(ウィーン) [お気に入り]
(絵葉書:皇帝フランツ・ヨーゼフと皇妃エリザベート)
(絵葉書:昔のウィーンの街)
中欧の旅、私たちの次の目的地は、ハプスブルク帝国の本拠であったオーストリアのウィーンです。
1854年4月24日、バイエルン公女だったエリザベート(シシィ)は、ハプスブルク帝国の若き皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められて16歳でオーストリア皇妃となりました。ホーフブルク王宮の脇にあるアウグスティーナ教会で厳粛な婚礼のミサが行われた日の夜、宮廷では若いロイヤル・カップルの誕生を祝う大舞踏会が開かれました。
(ウィーン国立歌劇場:世界三大歌劇場の一つ。
冬の舞踏会シーズンに開かれる『オペラ座舞踏会』も有名)
(ホーフブルク王宮のミヒャエル門:
右手に皇帝夫妻の居室の『カイザーアパートメント』がある。
一部は『シシィ博物館』として公開)
バイエルンの自然の中で伸び伸びと育ち、まだ幼さも残る感受性の強いシシィは、ウィーンに到着し市民から盛大な祝福を受けた時から、現実の重圧に打ちのめされそうだったことでしょう。
翌日から始まった宮廷生活で、厳しい姑(ゾフィー大公妃)による束縛といきなり絶え間のない衆目にさらされる生活になったことからシシィは心身のバランスを崩してしまいました。
閉鎖的な宮廷生活に絶望したシシィは、一人瞑想や詩作の世界に没頭し、夫や子供たちをウィーンに残したまま逃避の旅に救いを求める生活になったといわれています。シシィがハンガリー王妃となってからは、ウィーンの王宮よりもブダペストの滞在が多く、ハンガリー王妃の公務として貧しい人々の慰問にも熱心だったシシィの人気は今でも衰えていません。
(『美術史美術館』前の広場には”国母”と称されたマリア・テレジアの像)
(シェーンブルン宮殿で、若い2人は新婚生活を送った)
夫であるフランツ・ヨーゼフとの仲は悪くなかったので結婚の翌年には長女ゾフィーが生まれましたが、味方をしてくれるはずの夫は皇帝の職務に没頭し、シシィが姑に従うことを望むだけ。生まれたばかりの子供の養育は姑の手に奪われてしまいました。
翌年生まれた次女ギーゼラもまたまた姑に取り上げられ、授乳すら許されなかったシシィですが、皇帝をお忍びの遠出に連れ出して子供たちに会う許可を得ることに成功。しかし、嫁姑の対立が激しさを増す中で、ようやく姑から取り戻した幼い二人の娘を連れ出したブダペストに滞在中、姉妹そろって病気になり、長女が夭折するという悲劇に見舞われました。
“若い未経験な母親に任せるわけには行かない”という姑の大義名分が的中したともいえ、2年後に生まれた皇位継承者となる長男ルドルフは有無をいわさずシシィの手から取り上げられてしまいました。傷心のシシィの心はすさみ、常軌を逸した運動やダイエットに励むようになりました。
(王宮庭園内のモーツァルト像)
王宮でのシシィの楽しみは、姑の監視の目を盗んでお忍びでウィーンの街を散歩し、買い物をしたり、カフェでスイーツを食べることでした。厳しいダイエットによるストイックな日々が続くほど、甘いものへの渇望が強かったのかシシィは珍しいスイーツを求めてカフェめぐりをしていたようです。
シシィ御用達のカフェなどについては、当時の領収書類が「オーストリア国立古文書館」保管されているので、詳しく知ることができます。皇妃のプライベートな生活や嗜好品を知ることができる歴史的な資料が2度の戦火を潜り抜けてきたことには驚きますが、死後100年以上経ってもプライバシーが人々の視線に晒されるのはちょっと気の毒な気もします。
(トルテの種類の多さではウィーン随一の『デーメル』:
シシィはハプスブルク家の居城に近い店でコーヒーとスイーツを楽しむだけでなく、『デーメル』を通じて取り寄せた輸入チョコレートやお菓子なども届けさせている。『デーメル』のスミレのシャーベットやスミレの砂糖菓子もシシィのお気に入りだった)
(「ザッハー・トルテ」の元祖、『ホテル・ザッハー』:
シシィも「ザッハー・トルテ」を好んだが、果物のマジパン類も購入している。)
(ウィーンの目抜き通りにある『カフェ・ゲルストナー』)
(“スミレを愛し、スミレの香りを楽しんだ”シシィの肖像がパッケージに使われた「スミレの砂糖漬け」。かなりのチョコレート好きだったシシィは『ゲルストナー』のスミレのチョコレート菓子には目がなかったという。『デーメル』よりもさらに美味なスミレのシャーベットも宮廷に届けられた)
(焼き菓子:シシィはグラーツから取り寄せて食べていた)
<ウィーンで女性に人気のスイーツ>
(甘さ控えめで人気の『オーバーラー』のトルテ:
シシィは、宮廷の菓子部門のただ一人の女性マイスターが作る、低脂肪、低タンパク、低糖のスイーツを好んだという。
『オーバーラー』は、もともとは糖尿病患者向けの菓子として作った菓子が人気だが、日本では甘さ控えめのお菓子は珍しくない?)
(女性に人気の『ショコラティエ・ケーニッヒ』:
『デーメル』の職人が独立。店内で食べられるフルーツのチョコレートフォンデュは絶品。
シェーンブルン宮殿の一角にある動物園にいる仲良しパンダ・カップル「フランツ」と「シシィ」にちなんだチョコレート)
2009-05-02 14:33
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