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パリのルーヴルで見逃した名画を、東京で鑑賞するぜいたく [私的美術紀行]

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(大晦日のルーヴル美術館は、人・人・人・・・)

私はヨーロッパ旅行に行って美術館めぐりをするのが大好きですが、東京に居ながらにして海外の名画を楽しめる美術展にもよく出かけます。

現在、東京ではふたつの「ルーヴル美術館展」が開催されていますが、「17世紀のヨーロッパ絵画」というサブタイトルの国立西洋美術館(上野)の展示作品解説セミナーに行ってきました

“解説を聞いてから作品を見るか? 作品を見てから解説を聞くか?”

最近は会場で貸し出される『イヤホンガイド』というサービスもありますが、私は、予習してから出かけるのが好みです。
今回のルーヴル展のチラシによると、“フェルメールの名作『レースを編む女』をはじめ、レンブラント、ルーベンス、ラ・トゥールなど、日本初公開作品約
60点を含む71点の傑作が集結。これぞルーヴル、これぞヨーロッパ絵画の王道”との触れ込みです。

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(フェルメール晩年の作品
『レースを編む女』)

たしかに、チラシで紹介されている画家は、西洋美術史上不可欠の画家ですが、大作ぞろいのルーヴル美術館にあっては、うっかり見逃しがちな作品が選ばれているようにも感じます。30点あまりは初めてルーヴルを出る作品ということですが、日本人にとってなじみの薄い画家の作品もあるようです。実は、私が「見たことがある」とはっきり言い切れる作品は、昨年の大晦日に見たフェルメールの『レースを編む女』だけです。
(この数年、絵画鑑賞のガイドブックを読みすぎて、実際に美術館で鑑賞したのか、書籍で見ただけなのか自分でもわからなくなってしまった作品も・・・)

しかし、セミナー講師の有地京子さんの解説を聞くうちに自分が見逃していた作品にも素晴らしい作品があるということがわかりました。
特に、フランスバロックの3人の画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(『大工の聖ヨセフ』)、ル・ナン兄弟(『農民の家族』)、クロード・ロラン(『クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス』が個人的に楽しみな作品です。

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西洋絵画史 WHO’S WHOより、ラ・トゥールの作品
左上:今回展示される『大工の聖ヨセフ』
右上:『二つの炎のあるマグダラのマリア』
左下:『いかさま師』)


この中で、ラ・トゥールの『大工の聖ヨセフ』は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で見た『二つの炎のあるマグダラのマリア』と同じく、蝋燭などの光を効果的に用いた精神性の高い宗教画の傑作。しかし、ルーヴルで私の記憶に残っていたのは、美術館のガイドマップでも紹介されていた『いかさま師』のみ。そして、ル・ナン兄弟は私にとっては初めて出会う画家。

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「西洋絵画史 WHO’S WHOより、
ル・ナン兄弟:『農民の家族』)
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「西洋絵画史 WHO’S WHOより、クロード・ロラン
:右下が『クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス』


今回、西洋美術館に出かけたら、ルーヴルで見逃していた名画をゆっくり鑑賞しなくては・・・

◆絵画鑑賞ガイドブックとして、「週刊 世界の美術館」(講談社)や「週刊 西洋絵画の巨匠」(小学館)は、図版も大きいので読み物としても楽しめますが、手元に置いて重宝しているのは、「西洋絵画史 
WHO’S WHO」。

西洋絵画史WHO’S WHO―カラー版

西洋絵画史WHO’S WHO―カラー版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 1996/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

西洋美術史上不可欠な画家など
281人の作品、総計936点をオールカラーで紹介し、ポイントを簡潔に解説しているので、気になる画家や絵画があったときに役立ちます。

最近、名画の秘密を紐解く本が色々出版されていますが、今回のセミナー講師である有地京子さんの著書「名画の秘め事」もお勧めです。

名画の秘めごと―男と女の愛の美術史

名画の秘めごと―男と女の愛の美術史

  • 作者: 有地 京子
  • 出版社/メーカー: 角川マガジンズ
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 単行本

この本では、名画の解説にとどまらず、画家の人生ドラマなど様々なエピソードが紹介されているので、名画に映し出された画家の内面性を知ることで、絵画鑑賞の楽しみが広がると思います。
ルーヴル展で「自画像」が展示されているレンブラントは、自分の絵のモチーフになるものには惜しみない浪費をしたため、豪邸の支払ができず事実上破産。
昨年ドレスデン国立絵画館で見た『居酒屋の放蕩息子』の顔がレンブラントにそっくりだった理由が、このエピソードでわかりました。

 


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