フランスの「美しい村」で作られる伝統菓子・・・アニスキャンディ [海外旅行]
(アニスキャンディの缶)
先日ご紹介した「ガレット・デ・ロワ」や「カヌレ」はもともとフランスの修道院で作られていたお菓子がその後一般に普及したものですが、小さな缶入りのアニスキャンディもまた、修道院生まれのお菓子です。
14世紀にフランス・ブルゴーニュ地方のディジョンにあるフラヴィニー修道院で作られるようになったのですが、フランス革命後は、フラヴィニー名物としてトゥルバ社が14世紀の伝統的製法を守りながら製造販売しています。
(缶入りのアニスキャンディ:ローズとリコリス。
ボンボンは、一見ミント菓子に似ているが味は個性的?)
美しいデザインの缶に入った白いボンボンには、独特の香りをもち、お菓子やリキュールの香りづけなどにも使われるセリ科のハーブ、アニスの実が入っています。
アニスはもっとも古いハーブのひとつで、古代エジプト時代から利用されてきたそうですが、リコリス(甘草・かんぞう)によく似た少し甘めの味と香りがあります。
(缶のデザインは最近リニューアル。
アンティークな雰囲気がなくなってしまい残念)
オリジナルのアニスキャンディの他に、ミント、ローズ、バイオレット、リコリス、ジャスミン、オレンジ、シナモンなど何種類ものフレーバーがあります。私はまだ食べたことがないのですが、オリジナルのアニスキャンディはやみつきになる人と、嫌いな人に評価が分かれるとか。
私自身は、ローズとリコリスが結構好みですが、ミント以外は、ミント味はしないので見た目と味にギャップを感じるかも知れません。
(同じミント味の新旧パッケージ:
右側が旧デザイン)
元々は結婚式の時に男性から女性に送られたキャンディといわれ、パッケージにその絵が描かれていたのですが、最近、缶のデザインがリニューアルされました。個人的には、以前のアンティーク風イラストの方が好みなのですが、新しいデザインでは、“フラヴィニー”という地名がブランドのように強調されています。
ところで、この“フラヴィニー”という町は、2001年に日本でも公開された映画「ショコラ」の撮影地としても知られているようです。
私がアニスキャンディを初めて知ったのは、2003年8月にオンエアされた「あつあつボンジュール」というテレビ番組。
映画を見て、その舞台となったフランスの片田舎と思われる古い町の風景がとても気になっていたのですが、番組のおかげで撮影場所が判明しただけでなく、アニスキャンディというロマンチックな雰囲気の伝統菓子があることもわかりました。
映画「ショコラ」は、 “因習にこり固まった” フランスのある村に突然やってきて、美味で不思議な効果をもつショコラを作るヴィアンヌが主人公。おいしいショコラによって閉鎖的な村人の心を少しずつ動かしていくかと思われていたのに、ジョニー・デップ演じる魅力的な流れ者と出会ったことからヴィアンヌに思いがけないできごとが・・・
スクリーンの中から、ヴィアンヌが作るスパイシーなショコラの香りが漂ってくるようなファンタジック・ロマンでした。
フジテレビHPのバックナンバー記事「愛のアニスキャンディー」から引用すると・・・
“中世の面影を色濃く残す町・フラヴィニー。
映画・ショコラの撮影地としても知られるこの小さな町には、古くから作られてきた白いボンボン、アニスキャンディーが今も作られています。
その昔、求婚相手に送られたといわれるアニスキャンディーは、子宝に恵まれるようにとの願いも込められたプレゼント。
その中には独特の香りを持ち、食後酒などにも使われるセリ科のハーブ、アニスの実が一粒入っています。
消化にいいとされるアニスの粒は時間をかけて、砂糖でコーティングされます。
最初に作ったのは、フランス革命当時にあった修道院。その後もフラヴィニーの名物として作られてきました。
修道院跡地に建つ工場は、アニス特有の香りで満たされています。
キャンディーは、この大きな釜の中でシロップを少しずつかけられながら丸くなります。
1週間かけてキャンディーに・・・
時間をかけて作るから、丸くて硬くなるアニスキャンディー。
それはフランスを代表する名物キャンディーなのです。
いにしえの恋人たちが、愛のあかしとして贈り物にしたアニスキャンディー。二つずつ口に入れ、その甘さと香りを楽しめば、その愛は永遠に続くことでしょう。“
実際のフラヴィニーは、人口わずか300人ほどと書いてありましたが、ブルゴーニュ地方に限らず、フランス各地にはフラヴィニーのように時が止まった様な小さな「美しい村」がたくさんあるようです。
パリは大好きですが、いつの日か、フランスの「美しい村」を訪ねるスローな旅がしたいですね。
フランスの「美しい村」を訪ねて―パリから出かける小旅行 (角川oneテーマ21)
- 作者: 辻 啓一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/11
- メディア: 新書
美術館に「ボンボン入れ」という作品があったのですが・・キャンディ入れだったのですね・・・。
なぞが解けてうれしいです。ありがとうございます。
by くりっぴ (2009-07-11 23:46)
コメントありがとうございます。ボンボン入れ(ボンボニエール)は、皇室の慶事の引き出物にも使われたりしますが、日本人にとってはちょっとなじみがないかもしれませんね。
キャンディ(ボンボン)のほかに、金平糖や、アーモンドを砂糖で包んだドラジェも、結婚式に使われたりするので、そういう砂糖菓子をいれるための容器も美しい物が作られたのでしょう。
アニスキャンディは、「成城石井」でも売っていましたが、金平糖もポルトガルから伝来した砂糖菓子ですね。
by ジョージ (2009-07-12 16:10)