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ドレスデンとベルリンで、フェルメールの珠玉の名画と対面・・・私的美術紀行 [私的美術紀行]

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(ドレスデン:エルベ川からの眺望)
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(フラウエン教会復興の物語は日本でも話題になった)
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(ドレスデン城「君主の行列」)

9月のドイツ旅行で、私は、旧東ドイツに属し、“エルベのフィレンツェ”と呼ばれるドレスデンとベルリンでフェルメールの絵画をそれぞれ2点ずつ所蔵する美術館を見学しました。
これまで海外旅行時に訪れた有名美術館でお目当ての作品が貸し出し中だったり展示替えで鑑賞できなかったりする不運が何回かありましたが、今回は無事に4点を鑑賞することができました。

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(ツヴィンガー宮殿)
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(アルテマイスターとアウグスト強王)

フェルメールの作品は、ドレスデンではザクセンの栄華を象徴するツヴィンガー宮殿の絵画館・アルテマイスターに展示されています。

絵画館の所蔵品は、1690年代から1760年代にかけて、ザクセン公国選定候アウグスト強王とその息子のフリードリッヒ・アウグスト2世が蒐集した16世紀から17世紀の作品が中心のコレクションですが、戦利品などではなく、殆ど市場で買い集めたと言われています。
絵画館は、戦争が本格化した
1938年に閉館し、その作品は国内各所に分散保管されましたが、戦後ソ連軍によってモスクワに持ち出されてしまいました。その中には、フェルメールの2作品「取り持ち女」と「窓辺で手紙を読む女」や、ラファエロの「システィーナのマドンナ」、レンブラントの「ガニュメデスの誘拐」なども含まれていました。絵の一部は10年後に東ドイツに返還されましたが、いまだに失われたままの作品も多いそうです。戦後60年が経過しても戦争の傷跡がいまだ解決していないことがここにもありました。

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(フェルメール「取り持ち女」)

1958
年に再オープンしたアルテマイスターですが、現在の建物は19世紀半ばにゴットフリート・ゼンパーによって設計されたものです。
写真撮影が特に禁止されていなかったのでフェルメールの絵画を自分のカメラに納めることが出来ましたが、「取り持ち女」は、今まで私が見たフェルメール作品とはずいぶん趣が異なります。フェルメール作品の多くは一般的に「風俗画」として分類されますが、それにしてもこのようなテーマの絵画を購入した所有者はこの絵を自宅に飾ったのでしょうか。

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「窓辺で手紙を読む女」は、憂いをおびた女性の表情から推し量るに手紙の内容が余りよい知らせにはみえません。女性の内面が伝わるような絵画なので私にはいかにもフェルメールらしい作品と見えましたが、購入された1742年の時点ではレンブラントの作品と思われていたとか。

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(陶磁器コレクションは圧倒的スケール)

アルテマイスターでラファエロなどイタリア絵画やレンブラントの名画を鑑賞したあと、これもザクセンの至宝のひとつ、2万点という膨大な陶磁器コレクションを堪能してすっかり疲れた私と娘は、戦争で爆撃され瓦礫の山となった教会建物の感動的な再建ストーリーが、日本でも話題になったフラウエン教会隣のカフェレストランでランチタイム。

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(フラウエン教会は、瓦礫の山から拾い集めた資材を使って再建)

宮殿にも近いコーゼルパレイという店は、アウグスト強王が愛人コーゼル伯爵夫人の息子のために建てた貴族の館を利用したものです。

ひと休みしたのち、ドレスデン城の「緑の丸天井」と呼ばれる宝飾館で、豪華で精密な金細工などを見学した私たちは、翌日、統一ドイツの首都、美術都市として再生したベルリンに移動しました。

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(旧西ベルリンの中心地区:1943年の爆撃の姿が保存されているカイザー・ヴィルヘルム記念教会

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(ベルリンの文化フォーラムにある「国立美術館」)

ベルリンの壁により、長年東西に分かれていたヨーロッパ絵画コレクションはドイツの再統一後大々的な統合・整理・改修が行われましたが、18世紀までの絵画は新築された国立美術館で展示されるようになりました。フェルメールの「真珠の首飾り」と「紳士とワインを飲む女」は、この美術館で鑑賞したのですが、ドレスデンよりも警備が厳しく写真は撮影できませんでした。

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(絵はがき:「真珠の首飾り」)

真珠の首飾り」の若い女性は、他の作品にも何度か登場する白い毛皮がついた黄色いガウンのようなジャケットを着ています。これはフェルメールの時代に流行したファッションなのでしょうか。
また、フェルメールの絵は謎が多いと言われる様に、若い女性が首飾りをつけた自分の姿を鏡で見ているという構図にしては、鏡が小さくてよく見えないのではないか?という意見もあります。

フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書ヴィジュアル版) (集英社新書ヴィジュアル版)

フェルメール全点踏破の旅 (集英社新書ヴィジュアル版)
作者: 朽木 ゆり子

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/09/15
  • メディア: 新書


朽木ゆり子さんの著書「フェルメール全点踏破の旅」は、これら作品にまつわるエピソードなどの他に、作品を所蔵している美術館の歴史にも言及しているので私はとても興味深く読みました。

さて、現在上野の東京都美術館では「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」が開催中ですが、7点出展されているフェルメールの作品のうち6点は私が初めてお目にかかる作品といううれしい企画。なかなかスケジュールが合わなかった私と娘も近日中に上野まで出かける予定です。


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